2019 Fiscal Year Research-status Report
メカノケミカルを利用したフルオロペロブスカイト固体塩基触媒の調製と触媒作用の解明
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18K04837
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
飯田 肇 工学院大学, 先進工学部, 講師 (60327723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 和 工学院大学, 先進工学部, 教授 (30294341)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | フルオロペロブスカイト / メカノケミカル / 固体塩基触媒 / 強磁性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、メカノケミカル法により担持フルオロペロブスカイト(以下、ABF3)触媒を調製し、固体塩基触媒としての有効性を明らかにするとともに、新たな機能の創出を目的としている。2019年度は、以下の二点について、検討を加えた。 第一は、従来法による調製が困難であった、Aサイト金属にKを、Bサイト金属にSrをそれぞれ用いた活性炭担持KSrF3触媒の調製である。今年度は、おもに遊星型ボールミルの回転数がフッ化物の構造に及ぼす影響について検討を加えた。XRD測定からは、ボールミルの最大回転数である800 rpmで調製した試料でさえも、バルクの結晶相はSrF2のみであり、KSrF3ペロブスカイト相の形成は認められなかった。一方、XPS測定からは、メカノケミカル処理によって、試料表面において、KとSrからなる複合フッ化物が形成している可能性が示唆された。回転数を変えて調製した触媒を大豆油とメタノールのエステル交換反応に用いたところ、回転数400 rpmにおいて、触媒活性が最大となった。回転数400rpmまでの回転数増加に伴う活性の向上は、活性種として機能するKとSrの複合フッ化物の増加に起因すると推論される。 第二に、塩基触媒能と強磁性を併せもつ担持フルオロペロブスカイト触媒の調製を目的として、Aサイト金属がK、Bサイト金属がMgとFeであるフルオロペロブスカイトの調製を試みた。回転数800rpmの条件でメカノケミカル処理を施すと、副生物や未反応物が含まれているものの、XRD測定により、KMgxFe1-xF3固溶体の生成を確認することができた。強磁性と塩基触媒反応である脂肪酸エステル同士のエステル交換反応における触媒活性に及ぼすMgの添加量の影響を調べたところ、0.7≦x≦0.9において、強磁性と塩基触媒能を併せ持つことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Aサイト金属、Bサイト金属の検討については、当初、実験の再現性の確保に苦慮したために、KとSrの組み合わせのみの検討にとどまった。また、メカノケミカルを利用して、強磁性と塩基触媒能を併せ持つKMgxFe1-xF3固溶体の合成に成功したものの、副生物や未反応物の低減することができなかった。以上のことから、進捗状況としては、「やや遅れている。」と判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度、メカノケミカルを利用して、塩基触媒能と強磁性を併せもつKMgxFe1-xF3固溶体の合成に成功した。そこで、今年度は当初の研究計画を絞り込み、塩基触媒能と強磁性を併せもつ担持フルオロペロブスカイト触媒の調製を重点的に行う。 まず、懸案事項である、未反応物であるFeF2と副生物であるFeとMgの複合酸化物の低減を目指す。これまでの検討の過程で、調製段階で原料であるKFを過剰量加えることや水を少量加えることが、有効であることが確認されている。そこで、それらの添加量の最適化をおこなう。さらに、回転数および処理時間といったボールミル条件についても検討を加える。次に、ボールミル処理段階で活性炭などの担体材料を添加することで、フルオロペロブスカイトの高分散担持を試み、塩基触媒能や強磁性に及ぼす影響について、検討を加える。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、主に触媒の磁気ヒステリシス曲線の依頼分析のための費用である。試料準備と分析スケジュールの関係で今年度に実施できなかった。当該分析は次年度に実施予定である。
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