2019 Fiscal Year Research-status Report
Basic and applied studies for the protein encapsulated oxide nano-crystal
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18K04867
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
吉村 英恭 明治大学, 理工学部, 専任教授 (70281441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 幸夫 明治大学, 理工学部, 専任教授 (80345850)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | フェリチン / ナノ粒子 / マグネタイト / 単結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
中空構造のタンパク質(フェリチン)の空洞中に単結晶マグネタイトナノ粒子を形成させる条件を探した。フェリチンには鉄酸化活性部位を持つHサブユニットと、それをもたないLサブユニットがある。すべてL サブユニットで構成されたリコンビナントフェリチンを用いて、ゆっくり酸化が進む条件でナノ粒子を形成させ、さらに磁性を利用した精製法を開発して単結晶のナノ粒子を多く含む試料を作ることができた。しかしながら、この方法では効率が悪く合成に時間がかかるので、フェリチンを構成するサブユニットに1または2 分子のH フェリチンをもつリコンビナントを作製することで、効率よく単結晶ナノ粒子を合成させることを試みた。この目的で以下の様な方法を試みた。1)コピー数の異なる2種のプラスミドを使い、多い方にLサブユニット少ない方にHサブユニットを導入、2)1)のLが入ったプラスミドにLの遺伝子を2カ所にいれる、3)1つのプラスミドの上流にH、下流にLサブユニットを入れる。などの方法を試みた。高分解能イオン交換樹脂(monoQ)により精製後、Native電気泳動によりこの分子は1分子中にHLが混在しいることを確認した。L/Hの比は一番大きいもので5であった。しかしながら、高分解能のイオン交換樹脂でも厳密な精製が難しいので、現在HサブユニットにHisタグをつけて精製精度を上げる試みをしている。これらのフェリチンを用いて鉄の酸化速度を定量したところ、Hサブユニットの含有量に対応した速度変化がみられた。今後はこれらのフェリチンにより作製したマグネタイトナノ粒子の結晶性、磁化特性について検討する。フェリチンの外側に癌細胞に特異的に結合するペプチドを付加して、癌細胞への親和性を蛍光抗体法により確認した。また、高周波磁場中での発熱を確認するための磁場発生装置を作製し、粒径の大きな合成マグネタイトを使った試験を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HサブユニットとLサブユニットが混合するフェリチン分子を作り、その含有量をある程度制御できるようになったが、精製の精度が十分ではなく新たな手法を試みている状況である。磁化測定を試みたが、測定装置の試料容器が液体に対応しておらず、試料が漏れ出てしまうことがわかった。この点を改良することを試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究では1分子中にHサブユニットを1ないし2分子入れる試みについては、1つのプラスミドの上流にH、下流にLサブユニットを入れる方法が一番適しているという結果を得ているが、陰イオン交換樹脂での分離能が十分ではないのでHサブユニットにタグをつけたフェリチンを新たに計画している。電子顕微鏡ではきれいな単結晶が得られることを確認しているので、今年度は磁気特性を測定し高周波磁場中での発熱を調べる予定である。癌細胞への特異性を持たせることは確認しているので、実際にマグネタイトナノ粒子を持たせたフェリチンを癌細胞(HeLa細胞)に結合させてハイパーサーミアへの利用の可否を試験する。
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Causes of Carryover |
残額は10万円程度であったので、次年度に有効に使うことにした。
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