2020 Fiscal Year Annual Research Report
マルチスケールな電子状態制御による量子ホール効果相転移の研究
Project/Area Number |
18K04874
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
冨松 透 東北大学, 理学研究科, 助教 (60712396)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 二次元電子系輸送現象 / 量子ホール効果 / 走査ゲート顕微法 / 局所電界制御 / 相転移 / 電子散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
電子の局在や内在ポテンシャルの不均一性が関係する量子ホール効果相転移現象の解明のために (1)マクロな電子状態の制御に加え、(2)AFM 探針の局所電界を利用するミクロな電子状態制御の下で、マルチスケールな 2DEG の伝導特性評価を行った。内在局所ポテンシャルの相転移に及ぼす影響を調べるため、不純物分布の異なる高移動度及び低移動度の量子井戸構造試料の抵抗特性を比較した。 量子ホール相転移の結果として現れる普遍的な2DEG伝導特性を評価するため、不純物の少ない高移動度試料で、電子充填率等の制御因子と抵抗変化挙動との相関を調べた。走査型ゲート顕微法(SGM法)で調べた局所電子散乱分布の結果を基に考察し、2DEG中の絶縁相 (非圧縮性ストリップ)上で認められる大きな電子散乱が、エネルギー無散逸状態からバルク伝導への起点として相転移に寄与することが分かった。絶縁相形成の理論解析により、2DEG閉じ込めポテンシャルのエネルギー分布形状が、抵抗の基本挙動を決定する支配因子であることが明らかになった。 また、低移動度試料では2DEG抵抗値のばらつきの個体差拡大や劇的抵抗変化の顕在化など、高移動度試料との明確な相転移モードの違いを確認した。抵抗特性の試料によるばらつきは、内在局所ポテンシャルの無秩序性を反映している。これまでのSGM測定で見られた非圧縮性ストリップ付近の不均一なドット状のパターンから、不純物ポテンシャルが局所電子散乱からなだれ降伏的バルク伝導への転移のピン止めやトリガーとして働く可能性が示された。
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