2023 Fiscal Year Annual Research Report
Predominance of quantum well structure for solar cell application from a non-radiative electron transition loss point of view
Project/Area Number |
18K04876
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
碇 哲雄 宮崎大学, 工学部, 研究員 (70113214)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 量子ドット / 量子井戸 / 量子細線 / 太陽電池応用 / 光電変換効率 |
Outline of Annual Research Achievements |
量子井戸や量子ドットをもつ半導体量子構造太陽電池が高い光電変換効率を持つものとして精力的に研究されている。本研究課題は両者のうちいずれの構造が今後の研究対象として優位であるかについて非発光電子遷移の観点から議論しようとするものであった。2022年度までの研究で量子ドットと、量子井戸についてはその物性を解明することができたため、2023年度はこれらの中間構造と考えられる量子細線(ワイア)について研究を行った。量子細線といえども現時点ではそのサイズを厳密に意図して制御することは量子ドットとの場合と同様難しく不完全である。このため、構造が安定に作製できる量子井戸から出発してわずかな変調を行い構造を作製することとした。具体的には、膜成長の際に基板を結晶方位上で6度傾けて成長し、蓄積される歪みの作用で三角形になった量子井戸超格子を作製できた。この構造では量子細線と同じような構造を部分的に持つようになり、量子井戸と量子細線の二つの構造を持つデバイスを作製し、WoW(Wire on Well structure)構造と呼んだ。そしてこの構造により、光励起キャリアの再結合確率が著しく減り、変換効率が増加することを示すことができた。このように、高い変換効率が期待できるがデバイスのサイズ、周期性などの構造上の精度が不完全な構造を、構造を精密に作製できる量子井戸の作製から出発し変調した構造を用いることで、ナノ構造太陽電池デバイスの高効率かつ安定なものを作製できるという指針を示すことができた。これが、本研究課題において得られた最大の成果である。なお、これらの成果を、国内外の学会で公表し議論を深めることで量子構造太陽電池の開発に携わる研究者に指針を示すことができた。
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