2019 Fiscal Year Research-status Report
異種原子ドープ2次元材料と流体がつくる固液界面動電現象の解明
Project/Area Number |
18K04880
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡田 健 東北大学, 工学研究科, 准教授 (90616385)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | グラフェン / 界面動電 / 固液界面 / 流体 |
Outline of Annual Research Achievements |
将来多数のセンサーを生活環境に設置し、それらから得る情報を活用する社会が想定されている。そのために自律した小規模電源の開発が急務であり、生活環境中の物理現象を利用するエネルギーハーベスティングの重要性が認識されている。そこで本研究では、流体と2次元材料がつくる固液界面における動電現象に着目し、未だ学術的理解がなされていないメカニズムの解明を行い、自律発電デバイス化の指針提案とプロトタイプ作製を目的とし研究を行っている。 R1年度は当初の予定通り、液滴/グラフェン界面における動電現象について、表面電位と電気二重層、バンド構造と発電量、窒素ドーパントの結合状態に関して相関解明を目的とした検討を行った。水に接した際のグラフェンの表面電位は負であり、その値は窒素ドーピングによって異なることが明らかになった。このとき、より多くのカウンターイオンを壁(グラフェン)近傍に引き寄せるため、界面近傍に形成される電気二重層は薄く、急峻な電位勾配となると推測される。その結果として動電現象における出力電力が大きく向上することが明らかになった。 また、窒素ドーパントの結合状態は単結合と二重結合を持つグラフィティック型とピリジン型に区別でき、これらの2つにおいて発生する起電力に大きな違いは見られなかった。しかし、ピリジン型にはおいては、電気抵抗が高く電流を得ることができず、その結果として出力電力はわずかであった。つまり、発電デバイスとしてはグラフィティック型窒素を持つ方が効果的であることが明らかになった。 以上のように、R1年度は計画通りの進捗と十分な成果があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた研究内容を実施し、表面電位と電気二重層、バンド構造と発電量、窒素ドーパントの結合状態に関して検討を行った。これらの成果を発表している。また国際会議において招待講演を行った。以上のことから、当初計画以上に研究が進展しているといえる。 上記の検討項目のうちバンド構造と発電量に関しては、現在も引き続き検討を行っており、次年度も継続する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の予定に基づきコドープグラフェンを合成し、プロトタイプとなるマイクロ流路を持つデバイス作製を行う。流路サイズや液体の粘性、イオン強度を変化させることで、固液界面近傍における電位勾配や、流れを制御する。特に層流乱流遷移が起きるレイノルズ数2000~3000をターゲットとして検討を進める。 また、これまでに得られた実験結果についてシミュレーションを用いて再現を行い、より深い学術の理解に努める。実験とシミュレーションを駆使し、当初の目的である動電現象を誘起する要因を学術的に理解し、流体と電子工学をつなぐ学際領域の創出を目指す。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は3901円と少額であり、ほぼ計画通りに実施されたものと考える。未使用額は研究を行う上で必要な消耗品購入に充てる予定である。
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[Presentation] Multiphase Flow and Interfacial Transport Phenomena at Phase and Material Boundaries2019
Author(s)
1.S. Obayashi, S. Samukawa, T. Takagi, H. Wada, T. Okada, Y. Watanabe, M. Hashimoto, T. Iijima, P. Guy, L. Udpa, Y. Hattori, H. Nagai, K. Shimoyama, M. Hirota, A. Yakeno, G. Kikugawa, A. Komiya, S. Takeda, J. Ishimoto, T. Uchimoto, H. Kosukegawa
Organizer
Eighteenth International Symposium on Advanced Fluid Information
Int'l Joint Research
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