2020 Fiscal Year Research-status Report
アルカリ土類金属介在分子線エピタキシ法の開拓とⅣ族新規低次元構造の構築
Project/Area Number |
18K04883
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安武 裕輔 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (10526726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深津 晋 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (60199164)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ゲルマネン / ゲルマナン / ゲルマニウム / Hexagonal / インターカラント介在エピタキシ / 直接遷移 |
Outline of Annual Research Achievements |
モノリシック光電気集積回路の応用展開に向けて、プラットフォーム材料であるシリコンと次世代チャネル・光機能材料であるゲルマニウムの特性改善・新機能付与が渇望されている。Ⅳ族半導体のCubic(diamond)構造からLonsdaleite(hexagonal)構造への変換は、直接遷移型へのバンド改変に伴い、電子移動度向上と発光能発現が担保されており、結晶成長方法の確立が待たれている。 超高真空固体ソースMBEを用いて、カルシウム・ゲルマニウム単原子層交互蒸着方法を開拓し、シリコン基板にCaGe2 Zintl相を安定して結晶成長することが可能となった。これまで塩酸処理によるトポタクティック反応から水素終端ゲルマネンを作製していたが、溶液処理時間の長さと酸化が問題であった。そこでCaGe2をフッ酸処理することで、CaF2 / ゲルマネン(Hexagonal-Ge) / CaF2構造を短時間(10 min)で形成可能であることを見出した。 原子層薄膜の直接遷移端評価方法として、円偏光励起とマルチチャネル顕微分光法を用いて、短時間で計測可能な顕微フォトリフレクタンス法を開発し、ゲルマニウム超薄膜の膜厚に依存した直接遷移端の量子閉じ込め効果の観測に成功した。 一方で予定していた外部施設を利用した結晶構造の透過電子顕微鏡観測は、社会情勢により実施することが叶わなかったため、新規結晶構造解析が依然として課題である。今後、リモートでの観測環境等を整備して、構造解析から結晶成長への連携を強化し、前例のないゲルマネン光物性と電子物性評価に注力する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
シリコン基板上での新規結晶構造を有するゲルマニウム超薄膜形成と新機能開拓に向けて、本研究課題で確立してきたカルシウムインターカラント介在トポロジカル変換エピタキシと反応性の高い溶媒を用いて、カルシウムフッ素修飾による自己組織化的絶縁体層構築とゲルマネン形成に成功した。 またGaAs基板を用いて格子整合系における高品質Ge結晶薄膜の作製と基板からのAs拡散によるn型ドーピングにも成功した。これまでCaインターカラントと他元素ドーピングは成長温度を一致させることが困難であったが、本手法を用いることで、これまで課題であったゲルマナンへのin-situドーピングが可能となる。 一方で予定していた透過電子顕微鏡による構造解析が課題として残っており、オンラインでのリモート対応を含め、体制を調整中である。
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Strategy for Future Research Activity |
分子線エピタキシにより作成した高品質CaGe2 Zintl相薄膜にフッ酸処理を施すことで、酸化を防ぎつつ、短時間でCaF2 / ゲルマネン / CaF2多層膜を形成する手法を確立し、新規開発した分光法により短時間で超薄膜の直接遷移端を評価することが可能となった。 今後は本研究課題で確立した上記手法と停滞していた構造解析を加速し、未踏領域であるゲルマネン光物性、Hexagonalゲルマニウムの発光・電子物性評価に注力する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ感染により予定していた外部連携施設への出張と施設利用費を年度内に使用することが困難であった。そのため、翌年度への繰り越しを行い、延期していた外部連携施設を利用した結晶構造解析に使用する予定である。
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Research Products
(7 results)