2018 Fiscal Year Research-status Report
Creation of orthogonal self-assembled soft matter
Project/Area Number |
18K04885
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
荒牧 賢治 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (80313469)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オルソゴナル分子集合系 / 界面活性剤 / 超分子 / ゲル / ソフトマター |
Outline of Annual Research Achievements |
界面活性剤分子集合体と超分子繊維状集合体が共存したオルソゴナル分子集合系について,カチオン性界面活性剤の親水基構造と対イオンの違いがもたらすゲル化能,ゲル構造,粘弾性特性への影響を調べた。カチオン性界面活性剤であるセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB),同クロリド(CTAC),セチルピリジニウムクロリド(CPC)のそれぞれの水溶液に12-ヒドロキシステアリン酸(12-HOA)を高温で可溶化させたのちに,冷却することでハイドロゲルを調製した。CTAB系では12-HOAが1.0 wt%以上、CTAC系,CPC系では2.0 wt%以上でゲル化に成功した。得られたハイドロゲルの動的粘弾性測定を行ったところ,周波数によらず貯蔵弾性率が損失弾性率を上回る弾性的な特性を示すことがわかり,CTAB系のものが最も高い粘弾性を示すことがわかった。しかし,いずれのハイドロゲルも12-HOAとn-デカンで得られるオルガノゲルと比べてゾル-ゲル転移温度や粘弾性が低下した。12-HOAのオルガノゲル中でのゲルファイバーは積層した二分子膜からなることが知られているが,ハイドロゲル中においても同様の構造を有することが小角広角X線散乱(SWAXS)測定により確認された。また,光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡により,ゲルファイバー形成の観察も行った。ハイドロゲル中におけるミセルの存在確認については小角X線散乱測定によるミセル由来の干渉ピークの観察およびミセル存在時のローダミン6Gが示す可視吸収波長の観察により行った。以上により本研究で得られたハイドロゲルはオルソゴナル集合系であることが確かめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究においては交付申請時に以下の研究項目について研究を実施する計画を策定した。 (1)オルソゴナル自己集合系の形成条件の探索,(2)オルソゴナル自己集合系の構造解析,(3)機能物質の安定保持・放出制御 初年度は主に研究項目(1),(2)について検討を行った。研究項目(1)については,カチオン性界面活性剤の分子構造と組成とオルソゴナル自己集合系の形成条件の関係を明らかにした。また,研究項目(2)についてはレオロジー測定,熱分析(DSC),小角X線散乱(SAXS)測定,紫外可視吸収測定によりゲルの力学特性の解明,超分子繊維状集合体のナノ構造解析,ゲル中におけるミセルとゲルファイバーの独立形成を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究項目(1)についてはカチオン性界面活性剤だけでなく,アニオン性と非イオン界面活性剤を用いることを計画している。また,超分子も12-HOA以外のものを検討する必要がある。形成させる界面活性剤集合体については初年度の研究ではミセルのみであったが,これをひも状ミセル,リオトロピック液晶に拡張し,さらにサブミクロンサイズの粒子状に成形した液晶ゲルおよび液晶ナノ粒子ゲル(ゲルボール)の創製を試みる。研究項目(2)については未実施である電子顕微鏡による超分子繊維状集合体の観察を行う。研究項目(3)については親水・疎水性ナノドメインが共存するミセル,リオトロピック液晶の構造を利用した水溶性・油溶性のモデル機能物質を利用した安定保持と放出制御機能を明らかにすることを目的としており,調製したミセルゲル,液晶ゲル,液晶ナノ粒子ゲル,ゲルボールに保持したモデル機能物質(レチノール,L-アスコルビン酸,フルオレセインなど)の酸化安定性と放出速度を調べる予定である。
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Causes of Carryover |
研究を遂行するために必要な支出がなかったためである。次年度使用額は些少であるため,次年度の物品費に加えて使用する予定である。
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