2020 Fiscal Year Research-status Report
ナノ結晶水分散製剤の長期的な水分散安定性を確保できる方法論の解明と技術開発
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18K04887
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬場 耕一 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (00436172)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 薬剤ナノ結晶点眼液 / 結晶成長抑制 / 難水溶性薬剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノ結晶水分散製剤の製品化(上市)に向けて必須条件である、ナノ結晶水分散製剤の長期的な水分散安定性を確保できる方法論の解明と技術開発を目的としている。申請者のナノ結晶技術に基づき、難水溶性薬剤を対象にナノ結晶水分散製剤の作製と結晶成長の原因解明、結晶成長抑制剤の探索と選定、およびナノ結晶点眼液製剤の眼内動態を小動物点眼により確認することで、本目的を達成する。ナノ結晶水分散製剤の研究開発および上市化を加速させることができ、製剤学や製薬産業および医療関係者や患者に高い貢献をもたらすと期待できる。本年度の成果は、眼の抗炎症効果が期待されるステロイド剤であるフルオロメトロンのナノ結晶点眼液の作製に成功し、小動物への点眼実験により、当該ナノ結晶点眼液の眼内移行性が、従来的な懸濁型点眼液よりも最大で6倍程高い値を示すことを明らかにできた。またナノ結晶点眼液は、10℃保存で約半年間ほど、室温において約40日ほどナノ結晶の水分散安定性を確保できることが分かった(Baba et al, International Journal of Pharmaceutics, 2021)。いくつかの分散安定剤がキーマテリアルになっていることを明らかにできた。またナノ結晶製剤作製プロセスに沈殿法(ビルドアップ法)と凍結乾燥法を混ぜ合わせた作製手段が、ナノ結晶の形成と安定性保持に有効であったと考えている。この過程でナノ結晶の表面に、当該分散安定剤が吸着することで、水中でのナノ結晶化の抑制に効果を与えたと推測している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
良質なナノ結晶の作製と分散安定性の確保および眼内移行性の向上を達成することができた。すなわちステロイド剤であるフルオロメトロンのナノ結晶点眼液の作製に成功し、小動物への点眼実験により、当該ナノ結晶点眼液の眼内移行性が、従来的な懸濁型点眼液よりも最大で6倍ほど高い値を示すことを明らかにできた。またナノ結晶点眼液は10℃保存で約半年間ほど、室温において40日強ほどナノ結晶水分散液の安定分散性を確保した(Baba et al, International Journal of Pharmaceutics, 2021)。
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Strategy for Future Research Activity |
本技術の汎用性を確認したい。今回成功したフルオロメトロン薬剤のみならず、他の薬剤についても同様の効果があるかを検証する予定である。特にまず他の薬剤を用いてナノ結晶点眼液を作製できるかを検証したい。多くの薬剤を対象に安定したナノ結晶点眼液を作製できる条件を明らかにすることから着手していきたい。
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Causes of Carryover |
これまでの成果を1報の論文にすることができたが、まだ成果は十分でないと考えており、更に本技術の汎用性を確認したい。使用計画として、今回成功したフルオロメトロン薬剤のみならず、他の薬剤についても同様の効果があるかを検証する予定である。特にまず他の薬剤を用いてナノ結晶点眼液を作製できるかを検証したい。多くの薬剤を対象に安定したナノ結晶点眼液を作製できる条件を明らかにすることから着手していきたい。
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Research Products
(2 results)