2018 Fiscal Year Research-status Report
ナノカーボン複合自立膜を用いた外場励起浮揚バルーンの創製
Project/Area Number |
18K04892
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
生野 孝 東京理科大学, 基礎工学部電子応用工学科, 准教授 (60466331)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ナノチューブ / バルーン / ドローン / 光熱変換 / センサー / 無人飛行体 |
Outline of Annual Research Achievements |
安心安全保証社会実現に向けた屋内用小型浮揚監視システムを構築するため,無音・無風・長時間浮揚可能・各種センサー搭載可能な浮揚体を,ナノカーボン複合自立膜を用いて創製することが本研究の目的である.申請者が新規提案する浮揚体は,厚さ約十 μmのナノカーボン複合自立膜をバルーン状構造に成形したもので,本構造への電磁波照射によりバルーン内空間温度を上昇させ,バルーン内外の気体の密度差を駆動力に浮揚させることができる.長時間かつ高高度にバルーンを浮揚させるためには,バルーン内空間温度の長時間保持が必要とされるため,バルーンを構成する自立膜に対し3つの機能(気密性・断熱性・電磁波吸収特性)を付与することが要求される.本研究は,上記の機能が付与された新規自立膜を作製し,各物性値が精緻に制御された自立膜を用いて浮揚体を創製し,長時間・高高度の浮揚を目指している. 平成30年度は,当初の計画通り,昇温されたバルーン内空気の温度を長時間保持するための気密層形成技術の構築と,平成31年度実施予定であった断熱層形成技術の構築に関する研究の一部を先行して実施した.独自技術を用い,低ガス透過性と高断熱性をあわせもつ高密度セルロースナノファイバー(CNF)フィルムを創製し,本フィルムをバルーン用フィルムの骨格に用いた.その結果,CNFを用いないバルーンと比較して,3倍以上もの滞空時間を示すことを実験的に明らかにした.並行して,有限要素法による輻射伝熱シミュレーションを行い,CNFフィルムの有用性を定量的に評価することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
概要に述べたように,平成30年度は,当初の計画通り,昇温されたバルーン内空気の温度を長時間保持するための気密層形成技術の構築と,平成31年度実施予定であった断熱層形成技術の構築に関する研究の一部を先行して実施し,一定の成果を得ることができた.これは,独自技術を用い低ガス透過性と高断熱性をあわせもつ高密度セルロースナノファイバー(CNF)フィルムを新たに創製できたこと,そして,それをバルーンに適用したことのに起因する.また,このような計画以上の進展は,予算の前倒し申請により達成できたといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に引き続き,計画通り,バルーン素材に断熱材であるBNNT低密度膜を形成する.孤立BNNTの熱伝導率は高いという計算結果が報告されているが,実験的には熱伝導率は理論値ほど高くなく,BNNT凝集体を低密度化・欠陥導入することで熱抵抗を増加させると,むしろ,断熱材として利用できると考えられる.さらに,CNT-CNT界面の微細構造制御により,導電性を向上させ電磁波吸収特性を改善する.以上のような浮揚に適した自立膜の作製を行い,高高度・長時間浮揚可能な最適条件を探索する.
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Causes of Carryover |
研究推進上必要に応じて研究費を執行したため当初の見込額と執行額が異なったが,研究計画に変更はなく,前年度の研究費も含め当初の予定通り計画を進めていく.
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