2018 Fiscal Year Research-status Report
反応性固相ディウェッティングによるナノホール形成と構造制御
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18K04895
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
内藤 宗幸 甲南大学, 理工学部, 准教授 (10397721)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ナノポア / 金属ナノ粒子 / 透過電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は本研究課題の目的に従って、金属薄膜の作製および熱処理後の試料について形態・構造評価を行った。電子ビーム蒸着法を用いて熱酸化シリコン基板上に作製したニッケル薄膜を真空中で高温熱処理することで、薄膜は固相ディウェッティングにより微粒子へと形態変化し、熱酸化シリコン内部への微粒子沈降に伴って粒子上部にナノポアが形成されることを確認した。透過電子顕微鏡法による断面観察より、固相ディウェッティングにより形成された粒子は基板表面に対して平行に伸びた多結晶粒子であるが、沈降に伴って球状へと形態が変化することが確認された。また、組成分析および電子回折実験の結果、熱酸化シリコン内部で観察された球状粒子は化合物相を形成することなくニッケル単体として存在し、沈降に伴って単結晶化することが分かった。さらに、ニッケル粒子の沈降深度は熱処理時間の増加によって増大することが確認され、粒子直上においてナノポア径を測定したところ、粒子径とナノポア径は比例関係にあることが分かった。これらのことから、熱処理条件および粒子径を適切に選択することで、ナノポア長およびナノポア径の制御が可能であることが明らかとなった。ニッケルに加えて、コバルトや鉄を用いた実験も行い、同様の結果が得られることを確認した。また、これらの金属粒子について、粒子サイズとナノポア径の相関を調べたところ、ニッケルやコバルトに比べて鉄は相対的にナノポア径が小さくなることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初の研究計画に沿って(1)金属ナノ粒子の作製、(2)ナノポア形成過程の調査、について研究が実施できたことからおおむね順調に進展していると思われる。一方で次年度に実施を予定しているナノポア形成メカニズム解明に関する研究の実験条件検討について、再現性の確認などに想定してたよりも時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度得られたナノポア形成に関する基礎的な実験データをもとに、ナノポア形成メカニズムの解明を行う。また、本年度はアモルファス物質である熱酸化シリコンを基板として使用したが、次年度は結晶性基板も使用してナノポアのサイズや形状、配列制御に向けた基礎的実験に着手し、多様なナノホール、ナノ空間の構築を目指す。
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Causes of Carryover |
本研究課題の目的の一つであるナノホール形成メカニズム解明のため、その場観察実験を予定しているが、本実験に使用する実験機器選定に先立って行う実験条件および実験系の精査が遅れているため次年度使用額が生じた。差額については、本年度得られた実験データを踏まえ、次年度前半に主に物品費として使用する予定である。
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