2019 Fiscal Year Research-status Report
control of polymeric nanostructure via multi-photochemical reactions
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18K04903
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Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
御田村 紘志 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究員 (90437054)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 相分離 / シルセスキオキサン / 光反応 / リアルタイムIR |
Outline of Annual Research Achievements |
相分離・多孔構造の骨格剤として機能する光硬化性シルセスキオキサン(SQ)の光反応性と相分離構造の相関を調査する目的で、昨年度は、当該SQの光硬化反応をリアルタイム赤外吸収分光(RT-IR)で評価を行い、メタクリル基(MAc)とフェニル基(Ph)を共重合したSQがメタクリル基のみのSQより光反応性(初期反応速度と反応率)が高いことがわかった。 本年度はさらにフェニル基以外にアルキル基(R)やフェニルエチル基(PhEt)などの官能基をメタクリル基と共重合させ、その反応性をRT-IRによって追跡した。ここでは、紫外線(UV)光源として高圧水銀灯(320mW/cm2)を使用し、UVを5分間照射しながらIRを測定した。イソブチル基やプロピル基などのアルキル基をメタクリル基と共重合したSQ(アルキル:メタクリル=1:1)では、初期反応速度、反応率ともに低く、UV照射5分後でも20%程度しか反応しなかった。一方、フェニルエチル基をメタクリル基と共重合させたSQはフェニル基ほどではないが、アルキル基含有の上記SQに比べて高い反応性を示した。光反応性の序列はPh>PhEt>Rであった。PhのUV吸収スペクトルとUVの光源スペクトルが一部オーバーラップすることから、Phによる光吸収がMAcの光反応性にプラスに働いた可能性が考えられる。さらに、上記共重合系とフェニル単体のSQとMAc単体のSQを物理的に混合した系との比較も行ったが、5分後の光反応率はどちらも同程度であったが、初期の反応速度が共重合系のほうが速かった。この原因については、分子鎖の柔軟性などSQの化学構造由来である可能性が考えられた。今後は、これまで合成した種々の光反応性SQを用いて実際の相分離形成を行い、どのSQが相分離形成に適しているか、またその構造はどのようなものかを調査する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
光硬化性SQとフェノール系樹脂からなる系のSQの光反応性と相分離構造の相関を解明することを目的としているが、各SQの反応性の評価は実施できたが相分離との相関解明まで踏み込めていないため。今後は、これまで合成した種々の光反応性SQを用いて実際の相分離形成を行い、どのSQが相分離形成に適しているか、またその構造はどのようなものかを調査する。
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Strategy for Future Research Activity |
SQの光反応性(反応速度や反応率)が相分離構造の形成にどのように影響を与えるかを昨年度までの知見をもとに実験、考察を進める。光反応に対する酸素障害についても、大気下あるいは窒素雰囲気下について検討し相分離形成に適切な条件を模索する。
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Causes of Carryover |
研究計画や支出計画に変更が生じたため。研究計画に応じて適切に執行していく。
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