2019 Fiscal Year Research-status Report
末梢気道での呼吸計測を可能にする局所的肺機能計測システム技術の開発
Project/Area Number |
18K04912
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
長谷川 義大 広島市立大学, 情報科学研究科, 講師 (40402507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川部 勤 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (20378219)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肺機能計測 / 流量センサ / マイクロマシン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,現代医学で未解明なる領域とされている末梢気道での呼気吸気メカニズムを解明することを目的とし,末梢気道での呼吸を定量的に計測評価できる「局所的肺機能計測システム技術」の実現を目指した.具体的には,今年度は,各種医療用ツールとのタンデム仕様が可能な外壁実装型チューブ状流量センサの開発を中心に,以下の研究課題に取り組んだ. ①医療用ツールとのタンデム使用が可能な外壁実装型チューブ状流量センサの開発:(1)H30年度に開発した呼吸計測用の流量センサの作製プロセスを一部改良し,センサ作製の歩留まりおよび信頼性を向上させた.具体的には,流量センサ素子の配線を一部共通化し,また配線間隔を見直した.作製したセンサの流量特性評価の結果,ヒトの呼吸周期(3.3s)に対して十分な応答性(20.2 ms)を得た.また,センサを設置する管の内径に依存しない流速とセンサ出力の関係を取得した.(2)医療用ツールと外壁実装型チューブ状流量センサとのタンデム化:R01年度は気管支流体抵抗の取得を目指し,圧力センサとのタンデム化を検討した.具体的には,市販のMEMS圧力センサチップ(2.5 mm角)を幅2.0 mmの樹脂板上に実装することで,気道内に挿入可能な圧力センサプローブを作製した. ②気管支へのセンサ挿入検討および動物実験による検証:動物実験の実施に先立ち,R01年度は模擬肺であるフローボリュームシミュレータを用いて,作製した流量センサおよび圧力センサプローブの流量および圧力計測機能を検証した.模擬肺から伸ばした計測用チューブに流量センサおよび圧力センサを挿入し,ヒトの呼吸を模擬した流量波形(例えば,一回換気量2.0 L,周波数0.2 Hz)を流し,流量と圧力の関係の取得が可能であることを確認した.今後データ解析を進め,気管支流体抵抗の取得法を確立し,動物実験を実施する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書記載の研究計画に従い,本年度は,①医療用ツールとのタンデム使用が可能な外壁実装型チューブ状流量センサの開発,②気管支へのセンサ挿入検討および動物実験による検証の二つの研究課題に取り組んだ結果,①に関しては,昨年度開発した流量センサ素子の改良を行い,信頼性および生産性の向上を果たした.そして作製した流量センサは,ヒトの呼吸周期に対して十分な応答性および流量計測機能を有することを確認した.更に新たなセンサデバイスとして,圧力センサプローブの開発(市販の圧力センサ素子を気道内に挿入可能なプローブ状に実装)を行った.②に関しては,作製した流量センサおよび圧力センサプローブを動物実験の事前検討として,模擬肺を用いて人の呼吸を模擬した流量波形により評価した.その結果,管内流れの流量および圧力の波形を得ることができた.これらの結果より,研究はおおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後については,当初の予定通り,以下の研究課題に取り組む予定である. ①医療用ツールとのタンデム使用が可能な外壁実装型チューブ状流量センサの開発:本テーマでは,これまでに開発した流量センサおよび圧力センサプローブの改良に取り組む.また,新たなセンサ(ガス,超音波など)とのタンデム化の検証を行う.具体的には,気道内局所部における酸素,二酸化炭素濃度を明らかにできるガスセンサとのタンデム化が可能か検証する予定である. ②気管支へのセンサ挿入検討および動物実験による検証 R01年度に検証した流量および圧力センサから得られた情報から,気管支流体抵抗の取得法の確立に取り組む.また,作製した圧力センサプローブをラビットなどの動物の気道内に挿入し,実際の動物における流量圧力波形の計測機能を検証する.それらの結果を①へフィードバックする.これらから,局所的な肺機能計測システムの実現を目指す.
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Causes of Carryover |
令和元年度予算として,物品費1,378千円,旅費360千円,その他135千円を計上していたが,当初予定していたファイバ状圧力センサの購入を見直し,市販の圧力センサ素子にて圧力センサプローブを作製する方針に変更した.その結果,残余金(1,261,281円)を次年度の実験経費に充当することが可能となった. 令和元年度残余金(1,216,281円)は,令和2年度の物品費に充てる予定である.具体的には,令和2年度に検討するガスセンサなどの購入費用および製作材料費に充当する.
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