2019 Fiscal Year Research-status Report
結晶セレンヘテロ接合構造の微細加工によるマイクロ光センサの高感度化
Project/Area Number |
18K04914
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小林 大造 立命館大学, 理工学部, 准教授 (20557433)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 結晶セレン薄膜フォトダイオード / マイクロPD / 半導体微細加工プロセス / 高効率光電変換 / ステンシルマスク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、結晶セレン薄膜フォトダイオード(PD)の微細加工プロセスを開発し、光電変換素子の幅・長さを20 um以下まで小型化することで直列抵抗を低減し、大きな光生成電流を損失なく取り出し、PD小型化の高効率光電変換への有効性を示す。前年度までに半導体微細加工プロセス技術により自作の簡易マスクを用いて50 um×50 umのマイクロPDアレイを試作できるようになった。 令和元年度はマイクロPDの性能評価および集光系を適用した際の高効率光電変換の実証を進めた。開発したマイクロPDは暗時の漏れ電流が大きくなることで開放電圧が0.2V程度と低い値を示したことから、PN接合部の品質改善の余地が大きいことがわかった。想定される原因として、微細加工プロセスにはプラズマエッチングや後段工程のスパッタプロセスなどがヘテロ接合部の界面欠陥の状態に影響を及ぼしている可能性が考えられた。そこでプラズマエッチングを用いずに成膜の繰り返しのみで微細パターンを形成できる製作プロセスを整備した。具体的には精密なステンシルマスクを用いたダメージフリーな加工プロセスへ置き換えることを検討した。既に金属箔をエッチング貫通する手法で自前加工できるようにステンシルマスクの製作プロセスを整備完了した。またPN接合部の結晶構造とP型セレンおよびN型窓層の相互の膜厚の最適以下により開放電圧も0.6V程度まで改善できている。これらの成果を令和2年度にはPD小型化の高効率光電変換の有効性実証につなげる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では結晶セレン薄膜PDの小型化の有効性を実証するために、3年間の研究計画の中で具体的に以下の4つのサブテーマを設定している。 a) 結晶セレンPDの超小型化設計, b) 結晶セレンPDの微細加工プロセス開発, c) ヘテロPN接合特性の最適化, d) 高感度マイクロ光センサのオンチップ動作モデルの開発 平成30年度に(b)については概ね技術的目処が立った。 (c)についても暗電流低減および開放電圧向上のための窓層の最適化の目処が立った。 (a),(d)についても外部へは未発表であるが基本設計および初期試作まではできている。 今後再現性を含めたデータ取得を進め論文としてまとめる予定である。以上より2年目の研究成果としては概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続き結晶セレンPDのアバランシェ効果および集光効果により増倍した光電流の直列抵抗損失低減に対する、結晶セレンPDの幅・長さ・膜厚の因果関係を明らかにする。またヘテロPN接合特性については暗電流低減のための最適化は目処が立ったので、N型半導体材料の結晶構造制御およびバンドギャップ制御と光電変換特性の関連性についても、論文としてまとめる。結晶セレンPDへ集光を適用することによる光電変換高効率化検証を進める。
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