2018 Fiscal Year Research-status Report
Development and application of the density functional approach with spin density magnetic dipole interaction
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18K04923
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小田 竜樹 金沢大学, 数物科学系, 教授 (30272941)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 磁気異方性エネルギー / スピン軌道相互作用 / スピントロニクス / マルチフェロイクス / スピン分極密度汎関数理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
スピン分極密度汎関数理論(SP-DFT)の枠組みで磁気双極子相互作用(MDI)エネルギーを、スピン密度ともに自己無撞着に決定する計算手法開発を行った。2次元エワルド法の表式を定式化、計算コードの実装等を終えて、開発の進展は順調である。1原子層孤立強磁性薄膜、Fe/MgO界面有する磁性薄膜、反強磁性MnPt薄膜といった物質について、MDIを評価し、これまでの実験結果や計算知見と矛盾しない計算結果を得た。特に、酸化物等の界面において、四重極子スピン密度成分を非経験的手法の計算に取り入れることに成功している。界面に対して垂直方向に偏長した四重極子成分は面直方向の磁気異方性に寄与するが、SP-DFTの中で定量的に評価できている。また反強磁性薄膜についてDMI評価のその有用性を明らかにすることができるようになっており、反強磁性層をもつ強磁性層などへの応用が期待される。MnPtで実現しているc面内反強磁性構造では、c面垂直方向のDMIによる磁気異方性が得られるが、この寄与がスピン軌道相互作用(SOI)に由来する磁気異方性と競合し、外部環境に対し、敏感な磁気異方性特性を示唆することが分かってきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
磁性薄膜に対する研究実績は、磁性の関する国際会議での成果発表、原著論文出版にも至っており、研究は順調に推進されている。3次元エワルド法についても、連携研究者とともに平行して実装を推進して、分子性固体に対するMDIに由来するエネルギーを得ることに成功している。計算結果の一部はすでに国際会議での成果発表、原著論文出版に至っている。今後MDIに由来するエネルギーを含めた磁気異方性特性を、多くの種類の磁性物質で具体的に明らかにし、本研究手法の有用性を明らかにすることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、MDIに由来するエネルギーの計算手法を確立し、SP-DFTの枠組みで物質次元を問わず、磁気異方性を議論できる計算コードの開発を推進する。 第二に、その成果として、多くの種類の磁性物質で具体的にMDIに由来するエネルギーおよび、それによって現れる有効磁場を明らかにする。特に、反強磁性を含む応用および界面を含む応用を重点的に研究する。 第三に、磁気異方性に関する他の起源や要因に関係する相互作用について、理論展開および計算手法について検討し、調査を推進し、磁性科学の知見を深める。それと同時に、実際の実験に頼らない具体的な磁気異方性評価方法の開発を推進する。
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Causes of Carryover |
論文の出版作業が遅れているため、論文出版費として確保していた予算枠が執行できていないため。現在成果論文の出版決定に向けて作業を行っており、研究計画第2年度中には出版できるものと考えている。
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