Study on transparent organic solar cells with ternary mixture layer

2020 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 18K04929
• Research Institution: Kindai University
• Principal Investigator: 田中 仙君 近畿大学, 理工学部, 准教授 (20397855)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2021-03-31
• Keywords: 有機太陽電池 / 半透明太陽電池

Outline of Annual Research Achievements

本年度は申請者が在外研究に渡航予定であったため、研究を一時中断して次年度継続して実施する予定であった。しかし、新型コロナウイルスの影響で渡航が延期となったため、予定を変更して実験を実施することとなった。これらの要因により、実験補助を依頼する人員の確保などに支障が生じた。そこで、昨年度までの結果から成果が見込めた有機薄膜太陽電池のバルクヘテロ層内での電荷移動効率の決定要因の解明に絞って研究を進めることとした。
有機薄膜太陽電池のバルクヘテロ層内での電荷移動効率を検討する上で、半透明太陽電池への光照射方向と太陽電池特性との関係を詳細に調べた。有機層にはπ共役系ポリマー（P3HT）とフラーレン誘導体（PCBM）の組み合わせを用いた。また、P3HTの一部を臭素化してπ共役長を短くしたBr-P3HTを用いた素子についても実験を行った。前年度から継続して、半透明太陽電池への光照射方向と太陽電池特性との関係を調べた。その結果、バルクヘテロ層が約400nm以下の場合にはそれぞれの電極の透過率の違いのみでほぼ説明がつくが、それ以上の膜厚では正孔収集電極側から光照射した場合には生成される光電流の量が若干低下する傾向があることが分かった。これはP3HT:PCBMバルクヘテロ膜内での電子移動効率が正孔輸送効率よりも低いことを示唆している。また、前年度の結果では、Br-P3HTが電子輸送効率にも影響している可能性がみられたためより詳細に検証したが、この影響が断定できるまでの結果は得られなかった。ただし、Br-P3HTを用いた素子はP3HTを用いた素子よりも正孔輸送効率が落ちているという結果は得られた。本研究により、太陽電池素子そのものを用いたバルクヘテロ層内部の電荷輸送効率の検証方法として、半透明太陽電池の太陽電池特性の光照射方向と膜厚依存性の関係の測定が有効であることを示せたと考える。