2019 Fiscal Year Research-status Report
Polarity selection mechanism of III-nitride semiconductor epitaxial films
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18K04933
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
花田 貴 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (80211481)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 窒化物半導体 / 極性面 / エピタキシャル成長 / 表面構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
III族窒化物極性面の有機金属気相エピタキシャル成長(MOVPE)機構を定量的にモデル化できる例として、窒素極性面のステップフローモードでの成長速度の実測値を再現可能なモデルを提案した。これはBurton-Cabrera-Frank (BCF)の成長理論に従っており、必要なパラメータを熱力学に基づいて求めた。MOVPE成長中のIII族窒化物の窒素極性面は、表面の窒素原子のダングリングボンドの多くが水素で終端されている。窒素極性面テラス上で水素と競合吸着している微量のIII族アドアトムの被覆率をLangmuirの等温吸着理論に従って求めた。さらに、BCF理論によりステップ・キンクの前進による結晶成長では、新たにキンクで結晶に取り込まれたIII族窒化物はそれまでのキンク位置の役割を引き継ぐが、全体としての表面・ステップ・キンクのエネルギーは不変であり、結晶全体としてはバルクの拡張に相当する。すなわち、キンクでの結晶化に伴ってIII族アドアトムとアンモニアガスからバルクの自由エネルギーを持ったIII族窒化物と3/2水素分子が生成される。この反応前後でのギブス自由エネルギーのバランスとガリウム・窒素のステップキンクへの取り込み速度のバランスの2条件から、III族アドアトムの平衡被覆率とアンモニアガスの平衡圧力が定められる。このようにして求められた平衡条件と成長速度は、NTTグループによる、ガリウム有機金属のフローレートを変調させ過飽和度を抑制し窒化ガリウムのステップフロー成長を実現したMOVPE成長の実験結果を再現可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、窒素極性III族窒化物のステップフローモードでのMOVPE成長速度の実測値を再現可能なモデルについて論文を出版した。この成長モデルの検討により、ほぼ一定の成長表面形態での成長が期待される一定の過飽和度の条件のもとで成長速度を最大化し、成長量/原料費の最大化、廃棄される原料の最小化をもたらすIII族有機金属とアンモニアの流量比の指針を得ることができた。これは持続可能な環境・社会に寄与するものである。以上は、ステップをあらかじめ存在させて成長を開始する微傾斜基板上での結晶成長を想定したものであるが、今年度はさらに、ステップが新たに形成される螺旋成長によるステップフローモード成長について検討した。BCF理論と熱力学に基づいたモデルによって、窒素極性窒化ガリウムの螺旋成長速度のMOVPE実験結果を再現することができた。また、III族窒化物の非極性面の面内極性に依存した、微傾斜面上のMOVPE成長の非対称性についても解析を行い、アドアトムの拡散と平衡被覆率の重要性を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、これまでの結果を発表するとともに、さらに窒素極性窒化ガリウムのMOVPE成長モデルの適用範囲を広げるように、研究を進めていく。また、GaNの極性選択機構についての知見を得られるような実験と解析を行う。
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Causes of Carryover |
放射光施設での実験を予定していたが申請が採択されず、旅費、施設利用料、関連消耗品のための費用が余った。次年度以降にこの施設に加えて他の施設でも実験を申請し使用する計画である。
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Research Products
(1 results)