2020 Fiscal Year Research-status Report
無秩序化した有機ヘテロ界面を導く電子的および構造的要因の解明
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18K04944
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
赤池 幸紀 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (90581695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若山 裕 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 副拠点長 (00354332)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 有機ヘテロ界面 / 界面電荷 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、有機ヘテロ界面における接触電荷を計測する準備段階として、高仕事関数基板と有機半導体の界面における電子移動によって生じるカチオンを実測することを試みた。和周波発生分光(SFG)を太陽電池の透明電極であるITO基板に適用したところ、レーザー照射による損傷が見られた。様々な基板を試した結果、IZO基板であればSFG測定に耐えられることを見出した。そのIZO基板にモリブデン三酸化物(MoO3)を被覆し、フラーレンの界面にSFGを適用したところ、F1uのみのピークが1430cm-1に観測され、波数の異なる振動モードも観測されなかった。これは、フラーレンのイオン化エネルギーが高く、今後、フラーレンよりもイオン化エネルギーの小さい有機半導体で同様のSFG測定を行い、電子準位接続で予測されている接触電荷の実測を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、ITO基板上での計測を試みたが、レーザー照射による基板の損傷が見られたため、導電性基板のスクリーニングが必要であった。結局、ITO同様に透明電極として用いられるIZO基板ならばSFG測定に耐えられることが判明した。また、ガラス上に形成したC60薄膜よりも、MoO3で被覆されたIZO基板に形成した膜の方が可視光レーザーによる損傷が大きかった。以上の測定時のトラブルが続いたものの、最終的にIZO/MoO3/C60界面のSFG測定を実施できるようになった。MoO3/C60界面ではC60カチオンの形成が期待されるが、それを示唆する振動ピークは観測されなかった。C60のイオン化エネルギーが高いため、形成されたカチオンが少ないからだと考えられる。導電性基板上に形成した有機ヘテロ界面の測定環境を整えることができたので、おおむね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度には、C60よりもイオン化エネルギーが1eV以上小さい有機半導体(セキシチオフェン)などをIZO/MoO3基板に形成し、カチオン種の観測を試す。それを踏まえ、高仕事関数基板に形成した有機ヘテロ界面における接触電荷をとらえることを試み、電子準位接続のシミュレーションから予測された電荷形成との対応を調べる予定である。
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Causes of Carryover |
購入を希望していた基板作製費用に満たない額が残ったため、次年度使用額が生じた。2021年度に本研究に関わる消耗品の購入に使用する。
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Research Products
(7 results)