2018 Fiscal Year Research-status Report
Nondestructive Measurement Method for Depth Profile of Nonlinear Dielectric Properties and Domain Structure in Piezoelectric Devices
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18K04950
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Research Institution | National Institute of Technology, Kumamoto College |
Principal Investigator |
小田川 裕之 熊本高等専門学校, 地域イノベーションセンター(熊本キャンパス), 教授 (00250845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 剛 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (60344735)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 走査型非線形誘電率顕微法 / 圧電体 / 分極反転 / 動的ドメイン計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、圧電材料などの極性を有する誘電体の特性(誘電率、非線形誘電率、極性の方向)が深さ方向で変化している場合において、その分布を表面から非破壊で測定する技術を確立すること、及び、圧電デバイスの駆動中に内部の分極構造や誘電特性が動的に変化する様子を観察できる装置を実現することを目標に行っている。本年度の成果は次のとおりである。 (1)シリコンゴム球に金を蒸着コーティングしたものを探針として用い、試料に押し付けながら電界を印加した場合の、押し付け深さと探針の変形の関係、及び、その時の試料内部の電界分布を有限要素法で調べた。またそのデータを元に、SNDMの測定信号の変化をシミュレーションした。その結果、探針を押し付けるに従って電界分布は試料の深さ方向へ向かって広がり、層構造試料の下層部分の特性を反映した測定信号が得られるというシミュレーション結果を得た。これより、本手法によって深さ方向のプロファイルが測定できる見込みを得た。 (2)駆動中にドメインが動いている様子を観察するには、現在測定に使用している5kHzの交番電界を5MHz程度まで上げる必要がある。本年度は、帯域幅5MHzに可能にした測定装置の作製を行った。 (3)駆動中の圧電デバイスの分極ドメインを測定する予備実験として、圧電セラミックスに1Hzの交番電圧を引加したときの、面内の特性分布の変化を観察したところ、印加電圧の周期に従ってドメインと思われる領域の範囲が変化している様子を観察することができ、本手法の有効性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画していた項目は一通り実施し成果を得ている。但し、探針を押し込んだときの電界分布については、条件を変えてシミュレーションする必要があるが、予定より時間を要したためまだ一例のみしか行えておらず、引き続き条件を変えて行う必要がある。一方、ドメインの動的観察については当初の予定を前倒しして基礎実験が行えているので、総合的にはおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究により、当初の計画で実施可能であるという見込みを得ているので、内容に関しては計画通りに進める予定である。来年度以降は、測定の定式化、装置の操作性の向上、多くの試料を測定することで有用性を示すことと、それらの結果を装置の改良にフィードバックしていく予定である。
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