2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K04955
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 篤 東京大学, 生産技術研究所, 特任准教授 (20470114)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 窒化物半導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
InNは優れた電気特性から、テラヘルツ領域で動作する高速電子素子や超高効率太陽電池を構成する有望な材料候補と期待されているが、厚膜InNへの不純物ドーピングという従来法ではp型/n型の制御が難しいため、新しい伝導性制御技術の開発が求められている。研究代表者らはこれまでに格子整合基板を用いることで、10nm以下の極薄膜InNの高品質化に成功しており、厚膜InNでは実現できなかった電界効果トランジスタの作製にも成功している。本研究では、研究代表者が作製するデバイスクオリティの極薄膜をプラットフォームとして、InNの伝導性制御技術の確立を目指す。 2019年度はAlN基板上への極薄膜InNのエピタキシャル成長に取り組んだ。AlNはIII族窒化物半導体の中で最大の自発分極を有しているため、ヘテロ界面を形成することで、InN薄膜中の残留電子を空乏化できる可能性がある。実際に、ポアソン方程式とシュレディンガー方程式を自己無頓着に解いたところ、InN/AlN界面には空乏層が形成されることが示された。しかしながら、InNとAlNは格子定数が大きく異なり、良質なヘテロ界面を形成するためには、InNの初期成長条件を細かく設定する必要がある。成長温度を300℃から500℃まで20℃毎に刻み、膜厚10nm以下のInNをAlN上に成長させたところ、InNの分解反応が起こらない範囲で可能な限り高温で結晶成長させることで、初期段階の3次元成長を抑制できることが分かった。また、高温成長させた極薄膜InNがFETのチャネルとして正常に機能することも確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りに極薄膜InNの結晶成長プロセスが隔離され、FETの試作も順調におこなわれている。
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Strategy for Future Research Activity |
●分極効果による極薄膜InNの導電性制御 AlNの自発分極を利用したInNの残留電子の制御を試みる。AlNの表面処理や結晶性がInNエピタキシャル薄膜の特性に及ぼす影響を調べる。
●分極効果を利用したInN電界効果トランジスタの作製 InN/AlNヘテロ構造FET作製プロセスの改善し、高いオンオフ比、高移動度を示す素子を実現させる。デバイスプロセスと評価の結果をInNの結晶成長プロセスにフィードバックし、InN/AlNヘテロ界面に関する物理的・化学的な理解を深める。
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Causes of Carryover |
計画していた実験が効率的に進行し、必要な消耗品の購入数を削減することが出来たため。削減分は次年度の消耗品購入費用に充て、予定している実験回数を増やし、より詳細なデータ取得を試みる。
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