2018 Fiscal Year Research-status Report
ブリルアングレーティングをベースにした干渉型リフレクトメトリーの開発
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18K04969
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
高田 和正 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (20359590)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ブリルアングレーティング / 音響フォノン / 光干渉 / 光強度変調器 / 光リフレクトメトリー |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)過渡特性を利用したS/Nの改善:測定用光ファイバの先端部分から入射するポンプ光をLN強度変調器を用いて50MHzでON/OFF変調した。更に、当該ポンプパルス光が光サーキュレータを介して光バランス回路に入射する経路内にもう一台のLN強度変調器をスイッチとして設置した。ポンプパルスのON/OFFに対してスイッチングのON/OFFのタイミングを180°シフトすることにより、音響フォノンの過渡領域で発生したブリルアングレーティングによって発生するストークス光のみが光バランス回路に入射できるようにした。その結果、検波周波数6.7kHzにおいて、雑音レベルに対して8dB高いシャープな信号を観測した。音響フォノンの過渡特性を利用してストークス光を測定した報告例はないため、観測された信号が所望の信号であることを証明する必要があった。そこで、光源やポンプ光の強度を変化させて信号の変化を測定したところ、理論計算の結果と一致したことから、今回の実験によってストークス光の信号を対数スケールで8dBのS/Nで測定できたとの結論に達した。 (2)偏波ダイバーシティを利用したS/Nの改善:光コネクタの嵌合部近辺の数ミリメートルにわたる歪分布は、将来的な光コネクタの劣化や破損を推測するうえでの重要な情報となり得る。そこでフーリエ変換分光技術とブリルアングレーティングをベースにした偏波ダイバーシティ型低コヒーレンスリフレクトメトリーを融合することにより、30μmという超高空間分解能でブリルアングレーティングを測定できる技術を開発した。その結果、光コネクタの嵌合部分において立ち上がり距離430μm、立下り距離320μmのブリルアングレーティングが生成されていることを観測できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の実験により達成したS/Nは対数スケールで8dBであり目標値である10dBに2dB及ばなかっただけなので、進捗度としてはおおむね順調と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)音響フォノンの過渡特性を利用したS/Nの改善:前年度に続きスイッチング条件の最適化を行い、ブリルアングレーティングを測定する際のS/Nを改善する。S/Nが8dBに留まった理由は、パルス変調されたポンプ光を光スイッチで21dBしか減衰できなかったことによる。パルス変調及び光スイッチングに使用したLN光変調器は10GHzの帯域を有していたが、両デバイスを駆動するために使用した電気パルスの過渡時間が長かったため、光ポンプパルスの両裾の成分を十分除去できなかったことが原因であった。そこで今年度は、過渡時間が100ps以下のパルス発信器を用いてLN光変調器を駆動することにより、漏れ光パワーを更に10dB減衰させる予定である。このため、当初予定していた超狭帯域光バンドパスフィルタによるポンプ光の除去実験は次年度に行う予定である。 (2)嵌合部分のブリルアングレーティング測定:光コネクタの嵌合部で発生しているブリルアングレーティングはブリルアン周波数によって変化する。そこで、10.5~11.5GHzの範囲でブリルアン周波数を変化させながらグレーティングの長手分布を測定することによって、嵌合部近辺における歪スペクトルの長手分布を導出する。フーリエ変換分光技術を導入すると、ブリルアングレーティングを測定する際のS/Nは1程度に劣化してしまうことから、繰り返し測定による平均化処理が不可欠であった。すなわち現状のS/Nでは、ブリルアン周波数を変化させながらブリルアングレーティングを測定するために数日を要することは避けられず、同一条件で実験を行うことは不可能と考えられる。S/Nの劣化要因は偏波ビームスプリッターでポンプ光を十分除去できなかったことであったので、偏波を微調整できる偏波コントローラを導入することにより、S/Nを10dB以上改善し、測定時間を5~6時間に短縮する予定である。
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Research Products
(2 results)