2018 Fiscal Year Research-status Report
水銀フリー短波長光源のための深紫外顕微対物レンズ開発
Project/Area Number |
18K04975
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
清水 俊彦 大阪大学, レーザー科学研究所, 助教 (80415182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山ノ井 航平 大阪大学, レーザー科学研究所, 助教 (30722813)
猿倉 信彦 大阪大学, レーザー科学研究所, 教授 (40260202)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 深紫外オプティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、深紫外域に対応した屈折式顕微鏡対物レンズの開発である。本申請で深紫外対物レンズを3年間で作成から実用フェーズまで実施し、急務である次世代短波長光源の研究開発を推進させることを行う。短波長光は吸収されやすく、紫外を下回る領域ではほとんどの材料で吸収される。また、単一材料でレンズを作成しても特定波長以外では十分な集光特性が得られない。一般には複数の材料からなるレンズを組み合わせて複数の波長でも使用ができる色消しレンズが作成されるが、多種類の材料が必要であるため深紫外域では実用化できなかった。申請者は短波長まで優れた透過特性を所持している複合フッ化物材料を見出した。 本年度はレンズに必要な材料の調査と実験に必要な装置の導入を主に進めた。特に材料は可視から深紫外まで対応することが求められることから、バンドパスフィルタの準備を行い、さらに計測のためのファイバー分光装置の導入も進めた。 実験面としては、レンズの設計に必要な計算を行い、一部試料については申請者所有の装置及び外部施設の装置を用いて、その特性評価を行った。結果、設計に必要なレンズ材料のパラメータが得られた。また、透過率の計測を行い、そのデータをもとにシミュレーションによりレンズの最適な設計を行えるようにした。現在の候補はフッ化物材料のLiCaAlF6とBaLiF3をであり、これに石英を含めたもので設計する予定である。 ただし、現在所有している試料は小型の欠片であり、また全ての候補材料を網羅しているわけではないため、材料の入手についても検討した。現在、候補のフッ化物材料は入手が困難となっている。おもに国内で育成・販売を行ってた企業は現在行っていない。東北大学の共同研究者と協力して、試験サンプルが作成できないか検討を行った。さらに新たな材料作成企業にも相談している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計算については計画通り進めている。 材料については実際に育成現場において困難な状況が発生しているが、新たな入手法が確立しつつある。 材料の弱冠の遅れに応じ、装置導入を先行して進めることでスケジュール調整を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
想定波長域での透過率が低いとレンズとして使用できない。また標準サイズの顕微鏡対物レンズを切り出すのには、1インチ以上の結晶ブールが必要となる。作製法を検討し、結晶を育成する。材料を本資金で入手し、以前より協力関係にある福田結晶に育成を依頼する。フッ化物材料は、主に実績のあるCZ法による単結晶作製を候補とする。CZ法は抵抗加熱式と高周波加熱式などがあるが、福田結晶ではどちらにも対応できる。レンズクオリティの結晶育成の場合、抵抗加熱式が有利ではないかと現状では考えている。 その後材料をレンズに加工する。レンズの性能は大阪大学の装置を使用して評価する。完成した対物レンズの実用性試験では、深紫外光源(レーザー・ランプ)をバックライトとして、分解能テストターゲットを対物レンズ及び紫外CCDカメラで観察し、空間分解能・色収差を評価する。作成したレンズは協力研究者・企業に協力依頼し実際の評価現場でAlGaN素子等の深紫外発光の顕微分光を行い発光分布マッピングを行う。 課題解決へのチェックポイントとしてレンズ材料確保と対物レンズ試作がある。材料確保は高品質素材確保も進めながら従来の素材育成も行うことで、レンズ加工までは実施できる体制を維持し原理実証は確実に行う。レンズ試作は既に別タイプのレンズ技術を加工企業と連携して成功しており、最低限は技術的に可能なレベルでの深紫外用レンズを作成する。 タイムスケジュールとしては、2年目より材料・レンズを試作し、適宜材料・レンズの評価を行う。そして、作成したレンズを実際に使用し、深紫外光源の発光マッピングまで進める。
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Causes of Carryover |
次年度使用予定の物品購入を行うため10,872円繰り越した。
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