2019 Fiscal Year Research-status Report
Single-shot in-line digital holography without twin-image by a random phase modulation
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18K04978
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
野村 孝徳 和歌山大学, システム工学部, 教授 (80222206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
最田 裕介 和歌山大学, システム工学部, 助教 (30708756)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 位相変調 / 波面分割位相シフト法 / ディジタルホログラフィ |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の予定では(1)カラー化と(2)光学系の一般化としていたが,(2)の光学系の一般化に重点を置いて研究を遂行した. (1)では光源をスーパールミネッセントダイオードではなくLEDを用いて研究を進めた.当初は白色LEDに干渉フィルタを使用して実験をおこなったが.光量が不足し露光時間が長くなるという課題が生じ,研究課題の「瞬時」の実現が困難であった.そこで,高輝度の緑色LEDを使用し,単色LEDでホログラムの記録,像の再生をすることに重点を置き実験をおこなった.これにより,実用的な露光時間でホログラムの取得が可能となり,像の再生も可能となった. (2)フレネルホログラフィの光学系として位相格子によるTalbot効果を用いた波面分割位相シフトディジタルホログラフィ,瞳面変調を用いたディジタルホログラフィの研究をおこなった.これらは昨年度来実施してきた「ランダム位相変調」はなく,「位相変調」により実現が可能となったものである. 「ランダム位相変調」の目的は所望の複素振幅情報を得るためであり,一様にランダムなものではなく,要求される条件を満たすように位相分布は定められる.「要求される条件を満たす」位相分布がランダムではないケースが今年度実施した「位相格子によるTalbot効果を用いた波面分割位相シフトディジタルホログラフィ」と「瞳面変調を用いたディジタルホログラフィ」である.それぞれ原理の提案,数値シミュレーションおよび光学実験により,その有用性を実証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「位相格子によるTalbot効果を用いた波面分割位相シフトディジタルホログラフィ」では位相格子のTalbot効果により,波面分割4ステップ位相シフト法が実現できることを示した.従来手法の振幅格子のTalbot効果を用いた方法が3ステップ位相シフト法であったのに対し,4ステップ位相シフト法を実現できることから再生像の信号対雑音比の点で優位である.さらに波面分割位相シフト法では避けることのできないホログラムの欠落画素の補間方法の検討もおこなった.従来では線形補間が用いられてきたが,本研究では欠落画素の近傍の画素値を利用して補間をおこなうイメージインペインティングを導入した.イメージインペインティングは画像修復技術として用いられている手法であり,欠落画素を修復するという解釈である.最適化問題を解くことになるため,計算時間は長くなることが短所であるが,数値シミュレーションにより従来の線形補間よりも再生像の画質が向上することが示された.実験による実証もおこなった. 「瞳面変調を用いたディジタルホログラフィ」は強度輸送方程式を用いた位相計測手法に基づくものである.従来の強度輸送方程式を用いた手法はフォーカス違いの像を撮像素子あるいは試料を走査することにより得ていたが,瞬時記録や走査精度の点で課題が残されていた.そこで本研究では瞳面に位相変調を施し,複数のフォーカスが異なる像を瞬時に得る手法を提案した.位相変調パターンの設計(フォーカス外れの点像分布関数を生成するためのもの)には反復アルゴリズムを使用した.位相変調パターンを構成する画素サイズや画素数が有限であることから,所望の点像分布関数とはならず,誤差が生じたものの,それらを用いた強度輸送方程式により位相計測がおこなえることを数値シミュレーション,光学実験の両面から示した. 以上のことから概ね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度成果が得られた「位相格子によるTalbot効果を用いた波面分割位相シフトディジタルホログラフィ」では欠落画素の修復に時間がかかること,「瞳面変調を用いたディジタルホログラフィ」では得られる複数のフォーカスが異なる像(フォーカスシリーズ像)に誤差が生じてしまうこと,が課題として残された.前者は,機械学習等を使用して処理速度の改善を図ることが考えられる.後者は強度輸送方式による位相計測に捉われることなく,得られた複数のフォーカス違いの像から位相情報を求めることを考えている.ここでは機械学習を使用することになるが,必要とされるフォーカスシリーズ像の数などの最適化などを検討する予定である. ランダム位相変調によるインラインディジタルホログラフィでは高輝度の緑色LEDを使用し,単色LEDでホログラムの記録,像の再生が可能になったが,再生像の画質の改善には余地が残されているので,引き続き再生像画質の向上を目指す.
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