2018 Fiscal Year Research-status Report
Luminescent effects in multijunction photovoltaic devices
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18K04987
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
太野垣 健 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (80422327)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 発光 / 光電変換 / 多接合型光電変換素子 / 太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
高効率光電変換素子においては、非輻射再結合損失が抑制され輻射再結合が主要な損失要因となる。Laser power converterや集光型太陽電池などに用いられる多接合型光電変換素子は、多数のpn接合が直列接合された光電変換素子であり、pn接合における発光(輻射再結合)が異なるpn接合で再吸収される発光結合効果が光電変換特性に重要な役割を果たすようになる。多接合型光電変換素子の発光結合効果により、生成光電流が照射光強度に対し非線形に増大するなど、従来の光電変換素子にない新しい特性の発現が期待されている。本研究では、この発光結合効果の微視的物理機構を解明することが目的である。 本年度は、実験的アプローチにより特徴的な多接合型光電変換素子における発光結合効果の特性解明をおこなった。多接合型太陽電池においては、通常の多接合型太陽電池において、光入射側に配置された高バンドギャップエネルギーpn接合から、隣接する低エネルギーバンドギャップpn接合への発光結合効果について時間分解電流電圧測定を行い、非線形発光結合効果の観測に成功した。また、2接合型laser power converterにおいて、隣接するpn接合間における発光結合効果について、光電流および電界発光の同時測定を行い発光結合効率に寄与する物理機構の解明を進めた。さらに、pn接合間の距離を制御したメカニカルスタック多接合太陽電池において、発光結合効率の制御に成功した。加えて、新規3端子型のメカニカルスタック多接合太陽電池を用いることで、発光結合効果をより直接的に精密に測定しえることを示唆する結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
時間分解光電圧測定により、多接合太陽電池における非線形発光結合効果の観測に初めて成功した。メカニカルスタック多接合太陽電池において、pn接合間の距離を精密に制御することで発光結合効率の制御に成功した。発光結合効果の制御の研究を多接合太陽電池や多接合型のlaser power converterに適用するための重要な進展であると考えられる。加えて、新規3端子型のメカニカルスタック多接合太陽電池を作製し、発光結合効果をより直接的に精密に測定しえることを示唆する結果を得た。これらは、発現機構の理解の進展に貢献する、発光結合効果の新たな検出法として発展する可能性がある。研究期間を通して多くの進展が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
3端子型メカニカルスタック多接合太陽電池で発光結合効果の精密観測に成功したので、今後これをプローブとして、デバイス構造制御による発光結合効果の増強を目指して研究を展開していく。発光結合効果の動的特性を種々の分光法を駆使して明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
当該年度に予定していた消耗部品交換の発生頻度が低く、次年度使用額が生じた。当該助成金は、次年度に発生する消耗部品の交換に使用する。
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