2020 Fiscal Year Research-status Report
高安定レーザの作製による光ポンピング磁気センサの高性能化
Project/Area Number |
18K04989
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
高見澤 昭文 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (50462833)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 光ポンピング磁気センサ / 外部共振器半導体レーザ / ウェーブレット変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
磁気センサの光源となる波長894 nmの外部共振器半導体レーザを作製し、2台のビート信号を取って周波数雑音等を評価した。周波数雑音は周波数0.01 Hz, 1 Hzおよび100 Hzにおいてそれぞれ5 MHz/√Hz, 30 kHz/√Hz, および1 kHz/√Hzであった。セシウム原子の共鳴線の線幅である5 MHzより十分に小さく、磁気センサを作製するうえで十分であるが、問題はレーザの周波数雑音が磁気センサの感度にどのように影響するかであり、本実験で得た周波数雑音スペクトルは今後周波数雑音とセンサ感度の関係を詳細に調べるうえで重要な基礎データとなる。 また、磁気センサが高感度化されるにつれて、環境磁場の変動に対する磁気シールドの磁気遮蔽効果の不足が制約となり、センサの感度を十分に評価できなくなるため、環境磁場変動によるノイズを数理的に除去する方法を検討し、試みた。測定対象磁場用のセンサと環境磁場を測定する参照用センサを配置し、両者の出力に対してウェーブレット変換をうまく用いてノイズを除去する。磁気センサには感度1 pT/√Hzの市販品を用い、測定対象磁場として、5 cm離れた測定対象用センサで100 pTとなるような、1 s間隔で幅30 msのパルス磁場を直径約2 cmのコイルから発生させた。参照用センサはコイルから11 cm離れた位置に置いた。ウェーブレット変換を用いた方法では、単純に測定対象用と参照用のセンサ間の差を取るよりもノイズを除去することができた。より効果を上げるには、ウェーブレット変換の設定やデータ処理の際の閾値の設定を最適化する必要があることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大の影響のため、光ポンピング磁気センサの感度を上げるための実験をあまり行えなかった。その代わりに、テレワークで可能な数値解析に時間を割いた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度あまり行えなかった光ポンピング磁気センサの感度向上の実験を進めていく。レーザの評価は完了しており、データ解析の知見も高まっているので、光ポンピング磁気センサの実験が進めば、研究全体が速やかに進捗すると期待される。
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Causes of Carryover |
今年度は、新型コロナウィルスの感染拡大による緊急事態宣言の影響があり、予定していた光ポンピング磁気センサの感度向上実験をあまり行えず、テレワークでの数値解析が多かった。そのため、物品購入額が当初予定より少なくなり、次年度使用額が生じた。次年度は光ポンピング磁気センサの感度向上実験がメインになるため、今年度の未使用分をまとめて使用する予定である。
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