2018 Fiscal Year Research-status Report
低コストSi太陽電池のためのウェットプロセス電界効果パッシベーション膜の開発
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18K05008
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
渡邊 良祐 弘前大学, 理工学研究科, 助教 (70557735)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | シリコン太陽電池 / 表面パッシベーション / ゾルゲル法 |
Outline of Annual Research Achievements |
再生可能エネルギーとして、発電時に二酸化炭素の排出が無い太陽電池が期待されているが、変換効率の低さと価格の高さが普及への課題となっている。太陽電池の変換効率の向上は、太陽光エネルギーから効率的に電力を得るだけでなく、材料コスト削減にも寄与する重要なテーマである。 近年、コスト低減のため太陽電池基板の薄型化が進んでいる。このとき、光励起キャリアの裏面でのキャリア再結合損失の影響が無視できなくなり、変換効率の低下につながってしまう。例えば、多結晶太陽電池では裏面Al電極構造が用いられており、その裏面再結合速度は大きい。そのため、太陽電池裏面をパッシベーションし、裏面再結合を抑制することが重要である。 アルミナはシリコン基板との界面で負の固定電荷をもつ振る舞いをするため、表面の電子を反発する電界効果パッシベーションが期待できる。我々はこれまでにアルミナパッシベーション膜を安価、簡便な成膜手法であるゾルゲル法にて作製し、そのパッシベーション特性について評価してきた。本研究では、厚さ200μmのシリコン太陽電池を作製し、その後アルミナパッシベーション膜をゾルゲルウェットプロセスにて太陽電池基板の裏面に形成し、作製した太陽電池の特性評価を行った。絶縁物であるパッシベーション膜を介して裏面から電流が取り出せるようにフォトリソグラフィ工程によって裏面Al電極のポイントコンタクト構造を形成した。 裏面にアルミナパッシベーション構造を形成した太陽電池は、パッシベーション構造を形成していない太陽電池と比較して短絡電流密度が5%増大した。これはパッシベーション膜によって再結合損失を低減できたためだと考えられる。また、開放電圧、曲線因子、変換効率はそれぞれ7%、3%、17%増大した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画にて検討予定の課題の一つであった、ゾルゲル法にて形成したアルミナパッシベーション膜の実際のシリコン太陽電池裏面への適用ができ、また光電変換特性の増大を観測することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した試料の特性評価を引き続き行う予定である。また、C-V測定系を立ち上げ、SPV測定系の立ち上げも同時進行で行う。 試料焼成条件(温度、ガス雰囲気)を変化させたときにライフタイムが変化する原因について、より詳細な検討を行う。これら測定系を用いて、様々な条件にて作製したアルミナ膜のシリコン-アルミナ界面での界面準位密度、固定電荷量の評価を行い、より最適な作製条件の探索を行う。
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Causes of Carryover |
C-V測定系の構築を試みているが、当該装置が2019年度5月納入予定となったため、次年度使用額が生じた。2019年度は、当該装置を購入し、さらにSPV測定系の構築を行う予定である。
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Research Products
(4 results)