2018 Fiscal Year Research-status Report
地熱探査用MIMO型3次元指向性ボアホールレーダのフィールド実証実験
Project/Area Number |
18K05019
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
海老原 聡 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (20301046)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ボアホールレーダ / 地中レーダ / 指向性 |
Outline of Annual Research Achievements |
坑井内でアンテナ素子をアレー化したボアホールレーダにおける問題点の解決とMIMO型ボアホールレーダの原理確認を行った。アンテナ素子としては、ダイポールアンテナだけでなく、ループアンテナも導入することで、坑井内で電磁波の到来方向を推定できるだけなく、電磁波の偏波状態も推定できるかを確認した。特に、アンテナ周囲に存在する坑井が不均質体として作用し、散乱波を発生させ、偏波状態の推定にどのように影響を与えるかを調べるための実験を行った。ダイポールアンテナとループアンテナを装備したレーダゾンデを坑井へ設置し、坑井の外部から電磁波を入射させると、坑井によって発生した散乱波がレーダ信号に特徴的な影響を与えることを発見した。さらに、この影響は、多層円筒状誘電体の電磁界散乱を理論的に計算することで予想できることがわかった。アンテナ素子の集積化を行う際の問題点の洗い出しのため、実際に長さ2mのゾンデに送受信アンテナダイポール素子が円形配列されたのと等価なデータがとれるゾンデを試作し、フィールド実験を行った。その結果、集積化によっても電磁波の方向推定に影響を与えず、さらに測定時間の短縮ももたらすことが明らかとなった。。MIMO型ボアホールレーダの基礎原理確認として、複数のネットワークアナライザを同時に使用したレーダ計測を室内で行うことで問題点の洗い出しを行った。実際には、グランドプレーン上でモノポールアンテナを配列し、2台のベクトルネットワークアナライザを同時に使用することで、相互の干渉が具体的にどのように起こるかを調べた。その結果、ベクトルネットワークアナライザ間での測定周波数の間隔が少なくとも数MHz離れていれば、測定には問題が無いことがわかった。この検討を行う際には、影響の強さを示す指標を提案し、これを用いた検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で前提としていた基本事項について全て検討を行うことができた。なお、当初使用することを予定していた坑井が大学構内の整備のため2018年度中に取り壊されることになったが、その取り壊し前に研究に必要な実験を全て行うことに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究環境としては、実験用坑井を2019年度はじめに新規に造成し、本研究の遂行が滞りなく行えるように、実験場の整備とその妥当性の実験的な確認を行うことが必要となる。この費用は本科研費の直接経費から支出する。この支出のため、当初購入予定としていたネットワークアナライザを購入できなくなる。このために、代替品として本学研究所所有のネットワークアナライザの貸与を受けることができたため、研究の遂行に何ら支障はない。
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Causes of Carryover |
新規の実験場を造成する必要が発生したため、この費用を本予算から支出する必要がでた。この造成作業は2018年度中に行うことができず、2019年度初めに行うことにしたため、2018年度の予算を次年度へ持ち越すことにした。
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