2018 Fiscal Year Research-status Report
Dynamics of hydrogen at surfaces in space-time limit
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18K05030
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥山 弘 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60312253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 一也 京都大学, 理学研究科, 准教授 (30300718)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | レーザー走査トンネル顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
固体表面における水素原子の反応経路を制御するには,水素原子の振動励起と反応座標のダイナミクスの解明が必要であるが,表面上は不均一であり,励起状態のダイナミクスは水素の環境に強く依存するため,局所的な計測が不可欠となる。そこで本研究では,単一水素計測にパルスレーザーを組み合わせ,表面上の個々の水素原子に対してピコ秒ダイナミクスを計測する手法の開発を目指した。2段のパルスレーザーに誘起される水素原子の反応(運動)に着目し,その反応効率をパルスの遅延時間に対して測定することを目指した。まず,低温走査トンネル顕微鏡装置(既存)に設置された試料表面と探針先端の接合部位にレーザー光を収束させ,数マイクロメータの範囲へレーザーを照射できるように光学系を組み立てた。レーザーの反射光をCCDカメラで捉えて先端部位への収束を確認し,さらに反射光を分光器で評価することで,増強プラズモンによる発光を確認した。加えて,Au(111)に銅フタロシアニンを吸着させ,その反射光を分光器で評価することで,フタロシアニンからのラマン散乱(振動励起)ピークを観測し,探針位置(高さ)に依存してピーク強度の増強(探針増強ラマン効果)を捉えた。加えて,探針位置をSTM装置で表面平行方向に数マイクロメートル移動させることで,反射光の強度が変化することもわかった。これらの実験から,レーザー光が確かに探針直下のSTM接合部の数マイクロメートルの領域に収束していることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レーザー光と走査トンネル顕微鏡の組み合わせは世界的にもいくつか研究例はあるものの,各グループが独自の方法で進めており,本研究においても最初から手探り状態で研究を進める必要があった。レーザー光を扱う技術については光軸の調整やレンズの設置,カメラでの観測など,この一年でかなり上達することができたと考えている。真空チェンバ内の奥に設置された走査トンネル顕微鏡装置の探針部位にレーザー光を数マイクロメートルの精度で収束させるのは非常に困難であったが,これらについてもこの一年で達成することができた。本研究課題の目的実験まではまだ到達できていないものの,最も重要なレーザー光照射に関する準備の完了は元の研究計画に沿っており,順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまではレーザーの集光技術の向上を目的として、比較的簡便な赤外レーザーを用いて実験を行ってきた。レーザーの扱いにも慣れてきており、今後は実際に実験で使用する緑のパルスレーザーを導入して集光の調整を行う。実験対象であるCu(110)表面の水酸基ダイマーは既に準備できており、集光および制御系の完成次第、実験に移る予定である。またレーザー照射のタイミングを制御しながらSTM計測を同時に行うためのプログラム作成も同時に進めていく予定である。
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