2020 Fiscal Year Annual Research Report
Dynamics of hydrogen at surfaces in space-time limit
Project/Area Number |
18K05030
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥山 弘 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60312253)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 一也 京都大学, 理学研究科, 教授 (30300718)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | STM |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は続いてCu(110)に吸着した水酸基ダイマーのフリップ反応を対象として、パルスレーザーによる励起ダイナミクスの観測を行った。実験手法として、次に示す主に二つの改善を行った。 1.頻度計測法の改良:当初はフィードバックを分子上で切断して電流変化からフリップ運動の頻度を測定していたが、今回新たにフィードバックを切断せずに、ピエゾ高さ(Z)の時間計測からフリップ運動の頻度を求める方法に変更した。これにより、より長時間の安定した測定が可能になった。加えて、分子が測定中に不可逆的に変化(解離反応)する確率も減少した。 2.自動計測の導入:データの信頼性を向上させるために、遅延時間を細かく設定するなど、長時間測定が必要である。本研究では遅延時間に対してフリップ運動の頻度を一通り測定するのに約12時間を要した。自動計測用のプログラムを新たに導入することで、実験の効率性を大幅に改善できた。 パルスレーザーで誘起されたフリップ運動は遅延時間に対して予想された応答を示した。すなわち、短い遅延時間では反応頻度が高く、遅延時間の増加とともに反応頻度が減衰した。これは一つ目パルス励起で分子が振動励起され、二つ目のパルス励起で反応が誘起されたことを示唆している。一方、長時間測定を行ったにもかかわらず、データのばらつきは依然として大きく、より信頼性のあるデータを取得する必要がある。レーザー強度のばらつきが大きな原因と考えられることから、より安定なパルスレーザーを導入することが課題である。一酸化窒素の光脱離反応の観測に並行して行った単分子分光の研究では、分子磁性に伴う近藤効果が観測された。それが局所的な吸着サイトに依存していることを発見し、理論計算との共同研究を通して分子と金属の相互作用の違いと相関することを明らかにした。本成果を原著論文としてまとめ、Phys.Rev.Bに掲載された。
|
Research Products
(8 results)