2020 Fiscal Year Annual Research Report
Plasmon chemistry based on a proper understanding of hot carrier generation mechanism
Project/Area Number |
18K05042
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
安池 智一 放送大学, 教養学部, 教授 (10419856)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | プラズモン / 電子ダイナミクス / 非エルミートハミルトニアン / 二次元系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,金属ナノ構造体のプラズモン励起で生じる電子正孔対のエネルギーおよび空間分布の詳細な解析を通じてプラズモンケミストリーに有用な反応場を探索することである.本研究で開発した計算コードを用いた光応答の解析 [以下(a)~(d)] によって,Ir(111) ・Cs・graphene 系がプラズモンケミストリー諸過程を駆動する反応場として理想的であることが明らかになった.
(a) 光学応答の測定結果と理論予測の比較によれば,この系は表面垂直方向に Cs, graphene, Cs それぞれの単一原子層が積層する特異な表面二次元構造をとっている.(b) 強い光応答はピークエネルギー付近で誘起される電子密度が最表面 Cs に強く局在することに対応するが,これは最表面 Cs の電子状態が graphene の相対的に深いポテンシャルによってバルクの電子状態から分離されることによる.(c) 非エルミート量子力学の手法によって線形感受率を離散準位間遷移として表現すると,強い光学応答の原因が最表面 Cs 領域の離散的な表面状態間の多数の個別励起の建設的重ね合わせにあることが分かる.(d) この原子層局在プラズモンを構成する電子(正孔)のエネルギーは通常の表面プラズモンに比べて著しく高(低)く,これにより近傍分子種の電子・正孔注入が高効率で起こりうる.
またこの系は上記の (b) に関連して誘起電場も強く原子層に局在し,その増強度はおよそ330,000倍にも達するが,このことにより光と分子の強いポラリトン結合を実現する場としても有用であることが明らかとなった.
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