2019 Fiscal Year Research-status Report
高分子・超分子内エネルギー変換過程の時間分解ベクターポテンシャル分光
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18K05047
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
芦野 慎 金沢工業大学, 工学部, 准教授 (70247435)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 熱的ゆらぎ / 変換効率 / 原子振動 / 引力相互作用 / 電気エネルギー / 表面ポテンシャル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高分子・超分子内の原子振動が電気エネルギーへと変換される最適条件を見出し、実際に生じるエネルギー変換過程を、先端が原子レベルで鋭利に尖ったプローブ顕微鏡の探針を用いてより鮮明に可視化する方法を具体的に検討することに取り組んできた。これまでのところ、単層カーボンナノチューブ(Singlewalled Carbon Nanotube:SWNT)とそれに由来する、1軸方向に曲率を有するフリースタンディング(freestanding)状のグラフェンを用いて、外部からの熱エネルギーに対する、機械的な応答特性の解析を行ってきた。その際、曲率をパラメータにして、表面ポテンシャルの変化を評価する数値化モデルを作成し、曲げ強度の評価を行った。その結果、曲率がより小さい方がより少ないエネルギーに対する挙動が顕著に現れるという結果が得られた。それらの結果を受けて、現在、フリースタンディング状のグラフェンの試料作製に取り掛かっている。また、そうした試料を用いた場合の原子分解能観察の条件について検討を行い、そのために必要となる装置の変更点についてさらに検討を進めている。本研究では、特に時間分解分光の方法について、測定に使用する探針動作のプログラム作成の設計を進めている。特に、フリースタンディング状のグラフェンの熱的挙動を時間スケールで計測するための測定プログラムについて基本的なアルゴリズムの構築を行った。また、シミュレーションからどの程度の時間スケールが必要であるかの目途を立てることができるようになっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで単層カーボンナノチューブを試料として、そのための試料作成方法や観察・測定に必要となる装置の条件について検討を行ってきた。しかしながら、数値解析とシミュレーションを進める過程で、より顕著な特性が得られる試料として、フリースタンディング状のグラフェンがより適していることが明らかになってきた。そのため、現在そのための変更点を1つ1つ検討しているところであり、より良い結果を得るための条件設定に時間を要している。しかし、より適した条件に設定することで、当初の目的は達成されるものと予想されるため、多少時間が掛かっても現在の方針で進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、実際に上記試料を用いて、観察・測定を進めていく予定であるが、その際、大がかりな装置を組み上げる作業を行うよりも、寧ろ、より簡便で機能的な装置を設定し、焦点を絞って進める予定である。その場合、測定プログラムの開発を重視し、よりきめの細やかな条件を設定できるように開発を進めていく。
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Causes of Carryover |
当初予定していた除振機構について、大規模な機械的除振システムの導入について再検討を行い、より根本的な問題解決のために予算を使用する方針に変更した。そのため、実際に必要となる予算を次年度に回し、より必要となる物品の購入を検討している。
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Research Products
(3 results)