2022 Fiscal Year Annual Research Report
Time-resolved vector potential spectroscopy on energy transfer inside macro and supermolecules
Project/Area Number |
18K05047
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
芦野 慎 金沢工業大学, 工学部, 准教授 (70247435)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | グラフェン / ナノフレーク / 大気中へき開 / ケルビンプローブ法 / 仕事関数 / P形ドープ / N形ドープ / P-N接合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、カーボンナノチューブの原材料であるグラフェンについて、原子間力顕微鏡にケルビンプローブ法を組合わせた複合計測法に特化して表面構造の高分解能観察と同時に表面電位分布計測を行った。グラフェンは、炭素が2次元的に結合した厚さ1原子のシート状物質であり、機械的特性、熱伝導性、電気伝導性、光透過性に極めて優れ、次世代光・電子デバイスへの応用研究が世界的に極めて活発に進められている。ガイムらの2010年ノーベル賞受賞の直接理由となった、粘着テープを用いた大気中での機械的劈開法によるシリコン基板上への作製では、グラフェンがP形ドープされることが知られている。現在のデバイス応用研究の基盤技術となっているFET法によるグラフェンのキャリア密度操作の場合と同様に、本研究では高ドープのシリコンを基板に用いて大気中での機械的劈開法によりグラフェンを作製している。ここで本研究の特色としては一辺のサイズが1マイクロメートル以下の、いわゆる、ナノフレーク状のグラフェンを対象にしている点である。その場合、ケルビンプローブ法を用いた高分解能観察はこれまで報告例がなく、本研究においてはじめて達成することができている。グラフェンの作製に用いたグラファイト結晶の劈開表面とグラフェンを塗布する前のシリコン基板表面についてのケルビンプローブ法による計測結果と文献値から、導電性探針先端の仕事関数を予め決定している。それにより、ナノフレーク状グラフェンの仕事関数の空間マッピングが可能になり、単原子層グラフェン上でP-N接合が自然形成されていることが明らかになった。本研究の成果は現在世界的に活発に研究が行われているP-N接合の作製方法について、一石を投じることが期待され、現在、その成果を論文にまとめているところである。
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Research Products
(4 results)