2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Highly Effective and Selective Supramolecular Asymmetric Catalysts Based on Double-Helical Framework
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18K05059
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田浦 大輔 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (20622450)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 超分子 / 二重らせん |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、二重らせん構造の特徴を最大限に活用することで、そのキラルな『らせん空間』にアキラルな触媒部位を位置特異的に導入した二重らせん分子を設計・合成し、二重らせん空間を特異な不斉場に用いて、従来の方法では実現が困難な不斉反応の開発を目指すとともに、『自己会合』や『らせん誘起』の概念を巧みに利用して、位置選択的・不斉選択的光二量化反応の開発にも取り組み、以下に示す成果を得た。 1. 第二級アミン部位としてピペラジン残基を有するm-ターフェニル骨格を中央に導入したキラルなアミジン三量体とカルボン酸三量体からなる相補的二重らせん分子が、シクロヘキサノンとp-ニトロベンズアルデヒドのアルドール反応に対する不斉有機触媒として機能することを明らかにした。 2. 2,6-二置換アントラセンリンカーを有するカルボン酸二量体が、キラルアミン存在下、カルボン酸との水素結合形成により、一方向巻きに片寄った二重らせんを形成し、様々な温度でそのCD2Cl2溶液に光を照射した結果、温度の低下に伴い、光学活性なanti二量体のエナンチオマー過剰率 (ee) は飛躍的に増大し、-35 °Cで高いエナンチオ選択性 (98% ee) を示すことを見出した。 3. C末端にキラルなL-バリン残基とN末端にプロキラルな2位置換アントラセン部位を有する動的らせんペプチドは、キラルドミノ効果によるキラル情報の長距離伝達を介して、アントラセン部位がキラルな環境下で会合し、様々な温度でそのCD3CN溶液に光を照射した結果、光学活性なanti-HH二量体の相対収率とジアステレオマー過剰率 (de) は、反応温度に大きく依存し、-40 °Cで高い位置およびジアステレオ選択性 (90%と97% de) を示すことが明らかになった。 以上の結果より、二重らせん空間や構造の制御された超分子らせんが不斉源として機能しうることを実証した。
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Research Products
(12 results)