2019 Fiscal Year Annual Research Report
計算化学を駆使した高周期14族元素を含む芳香族化合物の機能開拓と合成戦略基盤構築
Project/Area Number |
18K05078
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
郭 晶東 名古屋市立大学, 大学院システム自然科学研究科, 研究員 (80770867)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 理論計算 / ジシラベンゼン / ジシリン / 1,2-ジシラシクロブタジエン / 高周期14族元素 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベンゼンに代表される「芳香族化合物」は、その[4n+2]π電子環状共役系の特異な電子物性に興味が持たれ、基礎化学的な興味は勿論、機能・物性化学の観点からも重要な基本骨格である。新たな機能性分子創製の点で、従来の芳香族化合物の共役拡張や分子修飾では物性制御に限界があり、研究のブレークスルーに欠けている点が問題である。新たな芳香族化合物群として、斬新な含高周期14族元素芳香族化合物を設計した。高周期14族元素が1つまたは2つ組み込まれた芳香族化合物はいくつか合成例があるが、ある程度偶発的な成果も含まれる。本研究では、高周期14族元素を含む芳香族化合物を機能・物性化学における標的化合物として見なし、体系的な学術基盤を構築するため、高周期元素置換の置換個数、置換位置と、その物性との相関に関する系統的な体系化や、合理的な合成戦略についての理論化学的な方法論を確立する。「[4n+2]π環状共役系の物性は高周期元素導入によりどのような効果を受けるか」という学術的問いに対しての解を導出する。 実際の合成例から、高周期14族元素間三重結合化合物と、アセチレン類の反応により、1,2-ジシラベンゼンが生成することがわかっている。この反応を基礎として、理論計算を展開することとした。実際、モデル化合物および実際に実験例のある実在分子について、1,2-ジシラベンゼンの生成機構を理論的に精査し、反応機構を明確化した。中間体として、1,2-ジシラシクロブタジエン誘導体が生成していることを理論的に予測し、連携研究者の協力のもと実験的にもこれを実証した。さらに、1,2-ジシラシクロブタジエンの反応性が、1,2-ジシラベンゼン生成の立体選択性を制御していることを明確化した。
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