2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of pseudo-aromatic systems consisting of cyclic resonance and multiple hydrogen bonding
Project/Area Number |
18K05082
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
鈴木 優章 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 講師 (90506891)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 共鳴構造 / 水素結合 / 互変異性 / 芳香族性 / プロトン共役電子移動 / トリピリン / オリゴピロール |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代炭素材料として有望であるが合成戦略が限られる多環芳香族炭化水素に対し、それらと同等の電子系にいたる合成法の易化・多様化を狙うべく、本研究では、多環芳香族炭化水素に見られるπ電子豊富な二次元π共役系の再現を、共鳴や他の相互作用によって担わせる。原子・イオン・電子の移動によって連結させることで、芳香族性に類似した安定化の寄与を生み出させ、二次元的な電子の非局在化が効果的に起こるような化合物体系の確立を目指す。 ピロール環3つからなる非環状配位子でありポルフィリンの3/4部分構造でもあるトリピリンも分子内多重水素結合を内包した骨格であると認識し、分子の高次構造の安定性や電子の非局在化にも寄与していると考えられるため、従来の臭素化体に加えて塩素化体・ヨウ素化体の合成にも着手、達成した。末端ハロゲン置換基が高周期になるごとに光吸収帯が長波長シフトする傾向が、フリーベースおよび亜鉛錯体において見出された。亜鉛錯体においては軸位配位子の変化も吸収特性に影響を与えることが分かった。また、X線結晶構造解析により骨格の変形度合いを見積もることで、塩素化体と臭素化体ではハロゲン置換基同士の立体反発すなわちトリピリン骨格の末端で許容される立体障害の大きさが同程度であるが、ヨウ素化体については大きくなることがわかった。これらのことを学術論文とし成果発表した。さらに分子構造を拡張するべく、求核置換反応で末端置換基を変換するために種々のアリールアミンを作用させ、追加塩基の有無も含めて検討したが、アリールアミンの還元性や塩基性により複雑混合物を与え、目的物の単離には至らなかった。
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