2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K05090
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
津留崎 陽大 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40623848)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ホスフィンドリジン / 三次元π共役化合物 / リン / 閉環メタセシス / ナフタレン |
Outline of Annual Research Achievements |
縮環ホスフィンドリジンの前駆体であるビニル基を二つ有するベンゾホスホールは、アミノ置換ホスホールの形成、リン原子上のアミノ-クロロ交換反応、アリール基の導入を経て合成していた。しかしながら、当量・温度などの反応の制御が難しく、収率が安定しないことから合成方法を見直すことにした。置換基を持ったリン原子の直接的な導入を目指して、芳香環のオルト位にオレフィン部位を有するアリールジクロロホスフィンの合成を検討した。ジクロロ(2-ビニルフェニル)ホスフィン (1a)は、良好な収率で無色液体として得られたものの、研究室における保管環境では、徐々にポリマー形成を示唆する黄色粘性体へと変化してしまった。一方で、ジクロロ[2-(1-プロペニル)フェニル]ホスフィン(1b)は、室温・不活性ガス雰囲気下で安定に保管できることがわかった。得られたジクロロホスフィン1bを用いると、閉環メタセシスに適したベンゾホスホールを直接合成でき、収率は10%程度から50%程度まで向上した。 また、ナフタレン環の2,3位がホスホール部位に縮環したホスフィンドリジン誘導体2aの合成も行った。化合物2aの紫外可視吸収スペクトルを測定したところ、399 nmを極大とする吸収が観測された。この値は、昨年度報告したナフタレンの1,2位が縮環した二種類の異性体のもの(434-437 nm)よりも短波長シフトしていた。一方で、これまでに合成したホスフィンドリジン誘導体とは対照的に、溶液中において発光が観測されることが分かった。ジクロロメタン溶液中で発光スペクトルを測定したところ、519 nm を極大とするブロードな波形が得られ、大きくストークスシフトしていた。発光量子収率は0.5%であった。この結果は励起状態においてホスフィンドリジンの湾曲構造が変化しているためであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
縮環ホスフィンドリジンの前駆体であるビニル基を二つ有するベンゾホスホールの合成収率が安定しなかったことから、合成方法を見直すことになった。収率改善に向けた手掛かりについては十分に得ることはできたものの、新たなホスフィンドリジン誘導体を開発し、構造・物性を明らかにするという観点からは研究を進展させられなかった。そのため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた知見をもとに、置換基を有するホスフィンドリジン誘導体の合成に取り組むとともに、ホスフィンドリジン骨格を連結させたオリゴマーへと展開する。また、閉環メタセシス反応を活用して、ホスフィンドリジンとは異なる新たな含リン縮環π共役化合物の合成にも取り組む。得られた化合物については、これまでと同様に、構造・性質を解明するとともに、すでに合成を達成しているジベンゾホスフィンドリジンやナフタレン縮環ホスフィンドリジンとの比較検討を実施する。
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Causes of Carryover |
本年度は新型コロナウイルスや研究人数の影響もあり、例年よりも実験を実施する機会が減少した。また、所属研究室にて並行する他の研究の資金も存在していたため、本研究課題と共通する試薬・ガラス器具等の消耗品は、他の資金を使用した。そのため、実際の使用金額は予定金額よりも少なくなっている。次年度は、適切な試薬・ガラス器具等の消耗品の購入にて使用する予定である。
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