2018 Fiscal Year Research-status Report
Construction of figure-of-eight shaped catalyst and synthesis of ladder molecules
Project/Area Number |
18K05093
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
小野 公輔 東京理科大学, 理学部第一部化学科, 助教 (30579313)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 共有結合性二重鎖 / 8の字分子 / シクロドデカフェニレン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、2本の直鎖状分子が共有結合で架橋された「共有結合性二重鎖」に着目し、その合成に挑む。その達成には、特定の2本の鎖状分子間で多数の反応点を連結する必要があり、予想される網目状構造の副生を抑えることが大きな課題となる。この課題を解決するにあたって“2つの環が結ばれ、中央に触媒サイトを持つ8の字型分子触媒の利用”を提案し、その創製とそれを利用した選択的な共有結合性二重鎖の合成を目指す。本年度は研究計画通り、大環状部位(シクロドデカフェニレン)合成収率の向上を目指し検討を行った。これまでに大環状部位(シクロドデカフェニレン)は、ペンタフェニレンジボロン酸とヘプタフェニレンジブロモ化合物の分子間鈴木カップリングにより単離収率10%程度で合成することに成功している。そこで反応濃度や反応溶媒、塩基またジボロン酸部位をピナコール保護した出発物質を検討したところ、基質濃度を1.0 mM程度、反応溶媒をトルエン、塩基に炭酸セシウム、そしてピナコールエステル保護体を用いた時に単離収率が33%まで向上することを見いだした。同条件で反応溶媒のみを1,4-ジオキサンに変更したところ、目的物はトレース量しか得られなかったことから溶媒の影響が大きいことがわかった。引き続き溶媒検討による更なる収率向上を目指したい。この環化条件を用いることで大環状部位の内部をOH基やNH2基で2箇所修飾した一連の化合物を合成することにも成功した。また、8の字構造の合成には大環状部位の外部修飾も必要となるが、今回大環状部位にあるCl基をBpin部位へと変換させることにも成功した。これらの結果は「内部や外部を修飾可能なシクロドデカフェニレンの合成」として学会にて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
8の字分子の構築検討において、大環状部位の十分な供給が必要となる。これまでに環化前駆体はグラムスケールで用意することに成功していることから、最終ステップである環化反応の効率が問題となっていた。本年度は、環化反応の条件を検討することにより、これまで10%前後であった単離収率を最大33%まで向上させることに成功した。この反応条件を用いることでOH基とNH2基で内部2箇所が修飾された一連の大環状分子(シクロドデカフェニレン)の合成にも成功した。また内部修飾のみならず、大環状分子(シクロドデカフェニレン)の外部にあるCl基をBpin基へと変換できた。これらの結果は、今後内部官能基を足がかりとした大環状部位への鎖状分子の導入や、2つの大環状部位を連結して8の字分子を構築するにあたり有用なものであると考えている。このことから研究は順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は大環状部位であるシクロドデカフェニレンの収率向上を行うことができた。そこで来年度は2つの大環状部位を触媒部位を導入できるユニットを介して連結させ8の字分子の構築を目指したい。連結ユニットとしては、ベンゼン環やカルバゾールを候補として考えている。また、同時に大環状部位への鎖状分子の導入の検討をはじめたいと考えている。本年度の結果として、内部に1つだけOH基を有する大環状部位の合成に成功している。そこでこのOH基に対し、動的共有結合にて鎖状分子を仮留めし、貫通させる。その後、鎖状分子の末端のアルキンに対し、アジド基を有する嵩高い置換基(エンドキャップ部)をHuisgen環化反応させて、貫通構造を構築する。貫通構造の検証として、環と鎖状分子の間を仮留めしてある動的共有結合を開裂した後にGPCによる分析を行い、大環状部位が鎖状分子から解離しないか調べる。今回用いる大環状部位であるシクロドデカフェニレンは42員環とかなり大きな環構造となっているためエンドキャプ部位の検討が必要となることが予想されるため、モデリングからのエンドキャップ部位の調査も行い検討していきたいと思っている。
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Causes of Carryover |
今年度は小スケールでの条件検討が多かったため、試薬や溶剤等での使用が抑えられた。次年度は大スケールでの実験も増えてくるためさらなる試薬や溶剤等の購入が予定されており、そこで助成金を使用することを予定している。
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Research Products
(7 results)