2019 Fiscal Year Research-status Report
外部刺激応答型へリックスピレン円偏光発光(CPL)材料の創製
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18K05094
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
今井 喜胤 近畿大学, 理工学部, 准教授 (80388496)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 円偏光発光 / CPL / キラル / キラリティー / 蛍光 / ビナフチル / ピレン / 光学活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究室ではこれまでに、発光性ユニットとしてピレンユニットを、不斉ユニットとして軸不斉ビナフチルユニットを導入した光学活性ビナフチルーピレン有機発光体の合成に成功している。これら発光体は、外部環境の変化、発光性ピレンユニットと軸不斉ビナフチルユニットのリンカーの種類を変えることにより、同じ絶対配置を有する光学活性ビナフチルユニットを用いているにも関わらず、円偏光発光(CPL)の回転方向を制御できることを見出した。 本研究では、軸不斉ビナフチルの2,2'位に、1位、2位と発光性ピレンの置換位置の異なる2種類の光学活性ビナフチル-ピレン発光体を新たに合成し、そのCPL特性について検討した。 これら発光体は、収率約75%で合成することに成功した。クロロホルム溶液中でCPLスペクトルを測定したところ、1位にピレンユニットが結合した発光体では極大CPL波長470 nm、2位にピレンユニットが結合した発光体では極大CPL波長478 nmで、共にピレン環によるエキシマーCPLを観測した。さらに、これら発光体のCPL符号を比較したところ、同じ軸不斉の絶対配置にも関わらず、ピレン環の置換位置の違いにより、CPL符号の完全なる反転に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画は、1)ターゲット発光体として、柔軟な光学活性ユニットを骨格とし、発光性ユニットとしてピレン環を有する光学活性ピレン円偏光発光(CPL)体を合成する。2)発光性ピレン環の精密なキラル空間配置制御により、CPLのスイッチ・メリー・増幅・消去さらにはCPL波長のチューニングを行う、というものである。これまでの研究において、発光性ユニットとしてピレンユニットを、不斉ユニットとして軸不斉ビナフチルユニットを導入した新しい光学活性ビナフチルーピレン有機発光体の合成に成功し、その光学特性の非古典的制御にも成功しているため、おおむね順調に研究が遂行されていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に基づき、適切な光学活性ユニット(軸不斉ユニット、面不斉ユニット、点不斉のアミノ酸ユニット)を選択することにより、円偏光発光(CPL)のスイッチ・メモリー・増幅・消去さらにはCPL波長のチューニングを可能にするへリックスピレンCPL発光系の実現を目指す。
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Causes of Carryover |
(理由)既存の光学活性ビナフチル試薬、溶媒を用いて合成実験を行ってきたため、試薬消耗品費が少なかった。当初、新規化合物である光学活性ビナフチルーピレン有機発光体の合成が、難航すると予想されていたが、順調に推移したため、試薬薬品費の支出が、当初予定に比べ、大幅に抑えられた。 (使用計画)今年度の予算計画として、実験用試薬などの消耗品を中心に使用する予定である。さらに、研究実施期間の最終年であるため、学会発表など積極的に行う予定である。
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