2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of reverse-protein splicing method using proteases
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18K05113
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
片山 秀和 東海大学, 工学部, 准教授 (30580857)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | タンパク質逆スプライシング反応 / プロテアーゼ / ペプチド縮合反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で目的としているタンパク質逆スプライシング反応は、酵素によるトランスペプチダーゼ反応と、化学的なペプチド縮合反応を一つの反応系中で行うことによって達成できる。2018年度は、リシルエンドペプチダーゼ(LEP)によるトランスペプチダーゼ活性の検証と、ペプチド縮合反応の一種であるNative Chemical Ligation (NCL)反応が同じ反応条件で進行するかの確認を行った。2019年度はその検証結果をふまえ、短鎖ペプチドをモデルとして、タンパク質逆スプライシング反応が実際に進行するのか検証した。Lys-Cys配列を含む基質ペプチドを、C末端にメルカプトフェニル酢酸とのチオエステル構造を有する挿入ペプチドと混合し、LEP存在下、種々の溶媒中で反応を試みた。しかし、基質と挿入ペプチドとの間でのチオエステル交換反応が非常に速く進行することによって基質のLys-Cys配列部分に挿入配列が結合し、立体障害によってLEPに認識されず、目的とする生成物はまったく得られなかった。一方、挿入ペプチドのチオエステルを、メルカプトプロピオン酸とのチオエステルに変更したところ、チオエステル交換反応が十分に遅くなり、基質がLEPによる作用を受けることが明らかになった。種々の溶媒と反応時間を検討した結果、エチレングリコールを高濃度で含む溶媒中で長時間反応させることによって緩やかに反応が進行し、非常に低収率ながらも目的とする生成物を確認することができた。これは、タンパク質スプライシング反応の逆反応を人為的に行った初めての成果であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、2年目(2019年度)に短鎖ペプチドを基質としてタンパク質逆スプライシング反応を達成することになっていた。当初の期待と異なりイオン液体中での反応は成功していないが、基質の構造や溶媒を含めた反応条件の検討を重ねることによって、短鎖ペプチドを基質としてタンパク質逆スプライシング反応を達成することができた。反応効率が期待を下回っているという問題点はあるが、現在までのところ、概ね計画通りに研究が進行しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
短鎖ペプチドをモデルとしてタンパク質逆スプライシング反応が実際に進行することを確認できたが、非常に低収率にとどまっている。今後は、基質濃度や触媒濃度等をさらに検討することによって、収率の向上を目指す。収率の向上が見られれば、より長鎖のペプチドを基質とした反応を検討する。そのために、当初の研究計画調書に記載した通り、反応点となるLys-Cys配列以外のLys残基のみを保護する方法の開発を目指す。Cys側鎖に近傍のLys側鎖を保護できる官能基を導入した保護基を導入した後に、残りのLys残基を保護、続くCysの脱保護によってLys-Cys部位のみを選択的に無保護状態に導くことを計画している。まずは、その保護基導入試薬の開発を目指すこととする。 一方、反応に用いる挿入ペプチドの合成に問題もある。このペプチドのC末端をチオエステル構造にする必要があるが、その収率のさらなる向上も、この研究を推進する上で重要である。今後は、ペプチドチオエステルの新規な合成法の確立もあわせて進めていくことを計画している。
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Research Products
(4 results)