2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of rhenium-catalyzed carbon-carbon and carbon-heteroatom bonds
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18K05131
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
西山 豊 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (30180665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅田 塁 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (70467512)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | レニウム / アルコール / 多環式芳香族化合物 / 触媒反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、レニウム錯体を触媒に用いた合成反応の開発を研究課題の一つとし、長年にわたり研究を行ってきた。その研究成果として、レニウム錯体を触媒に用いることで、従来の金属錯体ではほとんど報告例のない、斬新かつユニークな反応を多く見出している。 本研究課題では、レニウム錯体を触媒とした新規触媒反応のさらなる開発を目指して検討を行い、新たに以下に示す反応を見出した。 1)アルコールを炭素源に用いた炭素-炭素、炭素-ヘテロ原子結合形成反応を見出した。 (i)アルコールとアルケニルシラン、アリルシランを反応させると、アルケニルシラン、アリルシランへの炭素鎖の導入が位置、立体選択的に進行する:(ii)アルコールにアリルアルコールを用いると、アルケニルシランとの反応では1,4-ジエンが、アリルシランとの反応では1,5-ジエンが合成できる:(iii)アルコールとアミンとの反応ではアルコールがアミンのアルキル剤となる:(iv)アルコールとヒドロシランの反応を行うと、アルコールの脱酸素化が進行しアルカンが生成する。これらの反応は、アルコールを反応剤し、副生物も少ない環境調和型反応の反応であり、今後の展開に期待がもたれる結果である。 併せて、2)2-(フェニルエチニル)ベンズアルデヒドを用いた多環式芳香族化合物の合成法を見出した。(i)脂肪族アルデヒドとの反応が、1,3-二置換、2-置換ナフタレンの合成: (ii)2-(フェニルエチニル)ベンズアルデヒドとアミンから合成したイミンを用いた反応では1,2-ジヒドロイソキノリンならびにイソキノリンの合成が可能となった。この反応を応用することで、様々な多環式芳香族化合物の合成法へと展開ができるものと考えられる。 得られた成果は、レニウム錯体の触媒的な利用の新たな展開の可能性を示すものであり、有機合成化学、有機工業化学の分野において、非常に有意義かつ有用性の高い結果であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は、本研究課題期間にレニウム錯体を触媒とした新規触媒反応のさらなる開発を目指して検討を行なった。その結果、1)アルコールを炭素源に用いた炭素-炭素、炭素-ヘテロ原子結合形成反応、2)2-(フェニルエチニル)ベンズアルデヒドを用いた多環式芳香族化合物の合成法を見出した。これらの反応は、レニウム錯体を触媒に用いることで、従来の金属錯体ではほとんど報告例のない、斬新かつユニークな結果である。 科学研究費の申請時、申請書に記載した研究計画通りにおおむね順調に進展していると考える。しかしながら、最終年度、コロナウイルスの感染拡大のため、一時、研究が中断し、再開後も3密を避け研究を行う必要があるため、研究室内への学生の立ち入りが制限されるなどしたため、大幅に研究進行状況に遅れが生じることとなった。その為に、上記に記載した評価となった。
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Strategy for Future Research Activity |
科学研究費の申請時、申請書に記載した研究計画通りにほぼ研究が進んだものと考えたが、最終年度、コロナウイルスの感染拡大のため、一時、研究が中断し、再開後も、3密を避け研究を行う必要があるため、研究室内への学生の立ち入りが制限されるなどしたため、大幅に研究進行状況に遅れが生じた。科学研究費使用の期間延長が認められたので、2021年度は、引き続き本研究課題の研究を実施する。今までの研究成果をまとめることを中心にし、論文を執筆する上で必要な、データーの取集、反応機構の解明の実験を中心に行う。その上で、この研究期間に得られた成果を英語の論文としてまとめ、社会に発信することに注力する予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止を目的に、緊急事態宣言が発出されるなどし、大学への立ち入りが厳しく制限され、授業はもちろん、研究活動においても大きな影響を受けることとなった。特に4~6月にかけては、ほぼ全面的に研究活動が止まることとなり、その後も3密を避けながらの活動であるため、非常に制限を受けた中での研究となった。その為に、従来計画していた実験計画が非常に達成が困難となり、また、それらのために、必要となる試薬、ガラス器具、ガス類の消費も少なく、消耗品の購入費も非常に少なくなった。また、本研究課題で得られた成果の発表を計画していた、国内、国外学会が中止、延期となり、申請していた国内・国外学会出張費も使用できないこととなった。3年間の期間で達成を考えていた研究内容を、本研究費の使用期間を延長することで達成を成し遂げたいと考え、本研究費の使用期間の延長を希望した。
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Research Products
(3 results)