2019 Fiscal Year Research-status Report
Construction of Tetrahedral Chiral-at-Metal Complexes with Achiral Ligands
Project/Area Number |
18K05138
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宇部 仁士 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (00512138)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 金属錯体 / 亜鉛錯体 / 四面体型錯体 / 金属不斉中心 / Chiral-at-Metal錯体 / 非対称化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は初めに中心不斉四面体型亜鉛錯体についてその構築法、光学的に純粋な錯体を得る手法、また不斉触媒反応の最適化を行った。 始めにアキラルな三座配位子と単座配位子からなる中心不正四面体型亜鉛錯体について、前年度までに得られていた不斉補助基が配位した四面型錯体、およびアキラルな配位子に不斉補助基を交換した"Chiral-at-zinc"錯体について結晶化の条件を詳細に検討することで、99.9%以上と、光学的にほぼ純粋なChiral-at-zinc錯体を得ることに成功した。また、これら二つの錯体の単結晶構造解析により、得られた二つの錯体が四面体型構造有していることを確認し、その絶対配置を決定することができた。得られたChiral-at-zinc錯体は、ベンゼン中で一週間おいた後も高い光学純度を保っていること(99.2% ee)を明らかとした。通常、四面体Werner型錯体は置換活性で金属中心不斉の保持が難しいことが知られており、本錯体の高い安定性は特筆に値する。 また、得られた光学的に純粋な亜鉛錯体を触媒とする不斉oxa-Diels-Alder反応について条件を検討し、88% eeと高い光学純度で対応する生成物が得られた。このことは、本錯体の高い機能性を示すものである。 続いて、二種類の二座配位子と二価の亜鉛イオンからなるプロキラル錯体の構築を検討した。窒素上に対称、および非対称な置換木を有する1,3-ジケチミナト配位子を亜鉛イオンと段階的に錯体形成することにより、プロキラルな亜鉛錯体を形成することに成功した。この知見をもとに、対称配位子の配位子上の選択的反応によるキラル錯体の構築について検討を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アキラルな三座配位子と単座配位子からなる四面体型金属不斉中心亜鉛錯体については、得られた四面体型亜鉛中心不斉錯体は光学的に純粋で、かつ溶液中において高いキラリティの高い安定性を示すことを明らかとした。単核の四面体型錯体でこれほどの立体ほじの安定性を示すものは前例がなく、錯体科学の発展に寄与する結果であるといえる。また、この錯体を用いた不斉触媒反応において高い不斉収率を達成し、錯体の有用性を示すことができた。 二つの二座配位子を用いた四面体型錯体金属不斉中心錯体の構築においては、前段階となるプロキラルな錯体の構築に成功した。今後はこの錯体の非対称化により中心不斉四面体型錯体の構築を目指す。 総じて研究は概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
アキラルな三座配位子と単座配位子からなる四面体型中心不斉亜鉛錯体については、これまで二価の亜鉛イオンを中心進めてきたが、他の金属イオンについても四面体型中心不斉錯体の構築を検討していく。例えば二価のカドミウム、もしくはコバルトなどを中心に検討を進めていく。イオンのサイズによっては四面体だけでなくより大きな配位数の構造を取る可能性があり、多様な配位構造について金属中心不斉の制御を試みる。 二つの二座配位子を用いた四面体型錯体金属不斉中心錯体の構築においては、得られたプロキラル錯体について不斉反応剤、もしくは不斉触媒反応を用いた置換基の位置選択的な変換反応により金属不斉中心の構築を目指す。
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Causes of Carryover |
本年度の予算は概ね使用したものの、昨年度からの持ち越しについて一部残額が生じた。また、コロナウイルス の影響により年度末に実験の縮小があったことも理由に挙げられる。 来年度は新たに検討を始める金属イオンについて必要な試薬を用意する。また、学会発表や論文発表などの情報発信を積極的に進めていく。
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Research Products
(5 results)