2020 Fiscal Year Research-status Report
Construction of Tetrahedral Chiral-at-Metal Complexes with Achiral Ligands
Project/Area Number |
18K05138
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宇部 仁士 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (00512138)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 不斉金属錯体 / Chiral-at-Metal錯体 / 亜鉛錯体 / コバルト錯体 / ニッケル錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに三座配位子を用い、亜鉛中心のみにキラリティを有する四面体型不斉亜鉛錯体(Chiral-at-Zn錯体)のエナンチオ選択的な合成に成功し、その不斉触媒能を明らかとしてきた。 本年度は初めに、昨年度までに得られたChiral-at-Zn錯体の亜鉛中心の絶対配置をX線単結晶構造解析を用いて決定した。決定した亜鉛のキラリティと、ヘテロ-Diels-Alder反応で得られる生成物の絶対配置を比較することで、反応の遷移状態を推定することが可能となり、基質のアルデヒドと亜鉛中心との錯体形成、およびアルデヒドのホルミルプロトンと配位子のスルホニル酸素の間の水素結合による配座の固定と、ジケチミナト部位に導入した嵩高い置換いがプロキラル面の選択において重要な役割を果たすことを明らかとした。 続いて亜鉛錯体で用いた三座配位子を用いて、他の金属におけるChiral-at-Metal錯体の合成を検討した。三座配位子はジアニオン性であり、亜鉛錯体ではジアルキル亜鉛を用いて脱プロトンと錯体形成を行なっていたが、配位子を塩基で脱プロトンした後、種々の金属塩と反応させる、より一般性の高い合成手法を構築した。この手法を用いることで、コバルト(II)およびニッケル(II)についてChiral-at-metal錯体のラセミ体合成を達成した。また、ニッケル錯体では配位子の脱プロトン化に用いる塩基の量を調整することで、配位子がジアニオン配位子のみならず、モノアニオン性の三座配位子としても利用可能であることを見出した。配位子の電荷、および金属中心の酸化数を適切にコントロールすることで、新たな機能の発現が期待される。 現在、得られた錯体の動的不斉誘導および光学分割を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Chiral-at-Zn錯体について絶対配置を決定し、触媒反応で得られる生成ぶの絶対配置を比較することで、遷移状態の考察を行うことができた。また、開発した三座配位子を用いたChiral-at-metal錯体の一般性の高い合成法を確立し、亜鉛以外の金属種へと展開した。これらのことから、概ね順調に視点していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに構築したChiral-at-Co錯体およびChiral-at-Ni錯体について動的不斉誘導、もしくは光学分割を行うことで、光学的に純粋な錯体を得る。また、Chiral-at-Zn錯体の配位子の修飾により、新規不斉触媒反応の開拓を目指す。
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Causes of Carryover |
COVID-19の流行により所属期間での研究活動が制限された。特に初回の緊急事態宣言発動時は、研究活動をほぼ行うことができず、研究進展に支障がでた。宣言解除後も活動の制限が続き、研究の完成には21年度での研究活動、および研究費の使用が必須となった。 本年においてこれまでに開発に成功したChiral-at-Zn錯体のさらなる不斉触媒能の開拓と、他の金属種によるChiral-at-metal錯体の不斉合成により、研究の進展をはかる。(物品費等)さらに得られた成果について学会および論文で報告を行う(旅費、その他費用)
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Research Products
(3 results)