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2019 Fiscal Year Research-status Report

Mechanism of spontaneous formation and exploration of the cavity use of metallacrown complexes

Research Project

Project/Area Number 18K05156
Research InstitutionNihon University

Principal Investigator

大月 穣  日本大学, 理工学部, 教授 (80233188)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywordsメタラクラウン錯体 / 銅イオン / オキシム
Outline of Annual Research Achievements

本研究では,私たちが発見した,銅イオンと簡単な構造の有機配位子(アセチルアセトンジオキシム)が起こす,自発的な反応とそれに引き続いた自己集合をする系について,生成機構を解明し,一般性を確認し,応用を検討している.初年度では,いくつかの異なった有機配位子と銅イオンの組み合わせから,それぞれ異なった自発的反応と自己集合構造形成が起こることを見出した.
2年目は,これまで用いていたのと同じアセチルアセトンジオキシムでも,銅イオンの対アニオンをこれまでの硝酸イオンから塩化物イオンに代えると,銅イオンが1価に還元され,塩化物イオンと交互に並んだ六員環を形成し,それが二重になって連なり,その外側に有機配位子が変化したオキサゾールが配位するという,さらに新しい構造が得られることを見出した.銅イオンと塩化物イオンが一次元的に連なっているので導電性などの特性が期待される.予備的な量子化学計算を行い,バンドギャップが極めて狭いことを示唆する結果が得られた.
一方,初年度に見出していた銅の三核錯体は,電気化学的な水の還元触媒となることを新たに見出した.この銅の三核錯体の水溶液中で電位を掃引すると,錯体がないときに比べてより正側の電位で電解電流が流れ始める.これは,銅は一般に用いられる白金に比べて圧倒的に安価であるため,還元触媒としての開発が期待される結果である.このように,2年目には,さらに新しい構造の発見,および興味深い特性を見出すことができた.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の目的で挙げた,本研究で明らかする点は,(1)ニトロソ基窒素の起源,(2)錯体の電気化学特性の解明・触媒能の探索,(3)空孔錯体の単離法の検討,(4)ホスト・ゲスト特性,(5)複合金属イオン錯体のスピン特性,そして(6)一般性,である.
初年度は特に(6)一般性について進展し,新しい自発的反応・自己集合系を見出したが,2年目もさらに新しい配位子・金属の組み合わせについて自発的反応・自己集合が起こることを見出し,広く起こる現象であることが明らかになった.また,(1)ニトロソ基窒素の起源については有力な仮説が得られる段階になった.アセチルアセトンジオキシムの自発的反応である中央炭素のニトロソ化は,一旦酸素により酸化されてカルボニル基に変換され,その後他のオキシム由来のヒドロキシアミノ基によってオキシム化されるという経路であることが示唆されるという具合に,反応機構についてもある程度の知見が得られつつある.(2)について,新しく得られた多核銅錯体の一つが電気化学的水還元の触媒となることを見出し,大きく進展した.以上を総合して「概ね順調に進展している」という判断である.

Strategy for Future Research Activity

研究実績の概要に記したように,有機配位子を変えるとかなりの確率で新しい反応が発見され,新しいタイプの金属錯体が得られることが,初年度に引き続いて確認された.すでにさらに異なる組み合わせから結晶が得られており,これらの単結晶構造解析を進め,新しい自発的反応・自己集合系を見出していく.
一方で,(3)空孔錯体の単離法の検討や(4)ホスト・ゲスト特性を検討するためには,溶解度が高く水溶液中で安定なメタラクラウン錯体ができることが前提なので,新しい構造ではなく,望んだ構造ができる必要がある.そこで新たな戦略として,自発的反応で形成する分子をあらかじめ合成しておき,自己集合だけで生成する系について,メタラクラウン錯体の合成を試みる.
(2)錯体の電気化学特性の解明・触媒能の探索については,最近見つかった銅の多核錯体の一つが,電気化学的な水の還元触媒となることについて,定量的にその特性を調査し,新しい触媒として,既存の触媒と性能を比較しつつ,開発する.
(5)複合金属イオン錯体のスピン特性については,すでに得られている銅の三核錯体が興味深い構造なので,重点的にこの錯体について磁化率測定を行い,スピン特性を明らかにする.

Causes of Carryover

12万円の残額は,ほぼ初年度の残額分程度であり,2年目である本年度はほぼ予算通り使用した.
差額分は,主に,新しく見出した錯体の電気化学触媒としての定量的な特性測定のための電気化学セル等に充てる.

  • Research Products

    (4 results)

All 2020 2019 Other

All Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results,  Invited: 2 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] Formation and physical properties of multinuclear copper complexes from 1,3-dione dioximes and copper(II) salts2020

    • Author(s)
      Y. Hosoya, S. Kobori, M. Wada, K. Sugawa, J. Otsuki
    • Organizer
      日本化学会第100春季年会
  • [Presentation] Coordination-Directed Functional Supramolecular Assemblies2019

    • Author(s)
      J. Otsuki
    • Organizer
      International Congress in Pure & Applied Chemistry (ICPAC) Yangon 2019
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Presentation] Coordination-directed self-assembly into functional supramolecules2019

    • Author(s)
      J. Otsuki
    • Organizer
      15th International Conference of Computational Methods in Sciences and Engineering (ICCMSE 2019)
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Remarks] Joe Otsuki Web Sitete

    • URL

      https://www.chem.cst.nihon-u.ac.jp/~otsuki/otsuki.html

URL: 

Published: 2021-01-27  

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