2019 Fiscal Year Research-status Report
非線形ラマン・シングルショット分光による蛋白質の変性における動的現象の観測
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18K05166
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
大間知 潤子 関西学院大学, 理工学部, 講師 (70724053)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 非線形振動分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は,2018年度に作製したフェムト秒チタンサファイアレーザーを光源として,フーリエ変換型コヒーレント反ストークスラマン散乱(以下,FT-CARSと略す)分光法の光学系を構築した。本研究では非線形ラマン過程の反ストークスラマン散乱の時間信号のフーリエ変換から振動スペクトルを取得する。まずは簡単な光学系でのFT-CARS分光系の完成を目指して,ステッピングモータ型自動ステージを用いたマイケルソン干渉計,分散補償光学系,検出系を構築した。また並行して,ステージ移動の指令や信号取得さらにその信号のフーリエ変換処理を実行するプログラムを作成した。動作確認として,ラマン散乱確率が比較的高いトルエンを試料として信号測定を行い,得られたフーリエ変換スペクトルと報告されているトルエンの振動スペクトルとの比較を行った。文献値と同じ波数領域に信号が出ていることから,この光学系でFT-CARS分光が出来ることが確認できた。しかし,スペクトル分解能については改善が必要である。このスペクトル劣化の原因はデータ集録のプログラムにあることが分かり,現在修正中である。また,信号強度をモニターしながら分散補償の最適化を行った。このシステムでは最高で200万サンプリングレートの集録機を用いたため,一つのCARSスペクトルを測定するための計測時間は数100ミリ秒となった。計測時間は,光学系の中の遅延ステージを高速掃引ミラーに変換すると共に,より高いサンプリングレートのデータ集録機を使うことで50マイクロ秒以下にすることが出来る。本研究では蛋白質の凝集過渡現象の動的観測を最終目標としている。測定対象は,FT-CARS分光系の一スペクトルの計測時間およびにスペクトルを連続取得する全体の計測時間を考慮しながら検討していく。これらは次年度の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は,開始時に光源の作製が必要であったため研究申請時の予定から遅れている。しかし,光源が完成してからは光学系の構築と検出システムの準備は進んでおり,2020年度にタンパク質のCARS分光に取り組むことが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度までにCARS分光の基本的な計測系の構築が出来たので,2020年度はこの計測系を用いてタンパク質のCARS分光を進める。また,シングルショットの時間を短縮するために,ステッピングモータ型の移動ステージを高速掃引型ミラーに変更した光学系を完成させる。その試料選定は研究協力者と相談しながら進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
本研究は,申請時の予定と異なり初年度に光源の作製を行い,当該年度に光学系の構築と計測システムの整備を行った。これにより、当該年度に使用予定であった直接経費の一部は今年度の研究で使用する予定である。
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