2019 Fiscal Year Research-status Report
Rapid preparation of highly functionalized biomonolithic stationary phases by microwave synthesis
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18K05168
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
リム リーワ 岐阜大学, 工学部, 教授 (80377689)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マイクロ波合成 / ワンポット反応 / 迅速調製 / 有機ポリマーモノリス / 第3級アミノ基モノリス / キャピラリーLC |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,ワンポット反応における,マイクロ波照射による第三級アミノ基結合型有機ポリマー系モノリスキャピラリーカラムの調製と性能評価を行った。ポリマーモノリスの合成では,モノマーとして2-(dimethylamino)ethyl methacrylate (DMAEMA),2-diethylaminoethyl methacrylate (DEAEM),2-(dimethylamino)ethyl acrylate (DMAEA)の3種類を使用し,架橋剤としてエチレンジメタクリレート,細孔形成剤としてエタノールと1,4-ブタンジオール,重合開始剤として2,2-アゾビスイソブチロニトリルを用い,80℃にて15分間マイクロ波照射で行った。モノマーの分子内に二重結合と第三級アミノ基を持っており,水溶性や親水性,アニオン性化合物との吸着性や反応性などを持ったポリマーを合成することができると考えられる。
マイクロ波照射下で調製された3種類のアミノ型モノリスカラム(0.320 mm I.D. × 0.450 mm O.D.)の骨格の大きさと流路の大きさ,さらに無機陰イオンサンプルに対する分離性能を比較したところ,末端官能基として,エチル基よりメチル基の方が良いこと,また,モノマーとしてアクリル系よりメタクリル系の方が良い分離性能を示すことがわかった。陰イオン交換モードでの分離挙動について,中性移動相より酸性移動相を使用した時の方が良い分離かつ安定した保持挙動を示している。これは,アミノ基がプロトン化され,陰イオンに対する保持が伸びたと判断できる。また,同じ固定相を用いて親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)モードでの分離では,アセトニトリル濃度が上昇すると極性サンプルの保持が伸びている傾向からHILICの保持挙動を示している。最適移動相を用いて,HILICモードで5種類のサンプル(i.e. thymidine, uracil, adenine, uridine, guanosine)の分離を達成している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は,3種類の第3級アミノ基を有するモノマーを使用して,ワンポット反応におけるマイクロ波照射によるキャピラリーカラムの迅速調製を試みた。いずれのモノマーも15分で合成でき,分離カラムとして陰イオン交換モードおよびHILICモードでの使用が可能であることを確認できた。カラムの性能評価について,陰イオン交換モードでは,5種の無機陰イオンの分離保持を確認したところ,理論段数(N/m)は約6,000~33,000段であった。しかし,モノリスの骨格の評価について,走査電子顕微鏡(SEM)を使用し,キャピラリーカラムの断面図による評価のみが可能で,骨格のサイズ(特にスルーポア,メソポアのサイズ)や比表面積,細孔分布等の測定は失敗に終わった。
これまでわかったことは,マイクロ波合成では,極性物質やイオンを選択的に加熱するため,キャピラリー内部から加熱することが可能であるため,モノリス内部と外部の間に加熱時間の差が小さくなり,短時間の重合でもモノリス骨格に与える影響は小さいことがわかった。しかしながら,モノマーとして,非極性かつ疎水性であるC12有機ポリマーモノリスカラムについて,短時間(15分)での重合が可能であり,最適調製条件では,理論段数(N/m)は約55,000段を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,マイクロ波加熱および反応の条件とモノリス骨格の構造および性能の関係を明らかにすること。以下の課題をクリアする必要がある: ①有機ポリマー系モノリス骨格のサイズ(特にスルーポア,メソポアのサイズ)や比表面積,細孔分布等の測定方法の開発 ②調製されたキャピラリーカラムの保存方法の検討 ③マイクロ波装置内の温度制御
具体的には,ワンポット反応を中心に,イオン交換機能を持つモノリス固定相の調製を行い,①モノマー・架橋剤の種類・割合,②ポロゲン(細孔形成剤)の種類・割合,③マイクロ波照射条件(強度・時間・照射方法)等の最適化を行う。重合開始剤として,これまで2,2-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を使用してきたが,今後,過酸化ベンゾイルや過硫酸カリウムのような有機・無機過酸化物などの使用を検討する。来年度は,モノマーとしてビニル基と陽イオン交換基をあわせ持つビニルスルホン酸,架橋剤としてエチレンジメタクリレートまたはポリエチレングリコールジメタクリレート,細孔形成剤として1-ドデカノール,1-デカノール,1-プロパノール,1,4-ブタンジオールなどを用い検討を行う。
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Causes of Carryover |
本研究の遂行には,当研究室所有のマイクロ波反応装置(Wave Magic MWO-1000S 型;EYELA)を利用しているが,数年前から,装置の不調が続き,一部の反応において,温度の制御ができない場合がしばしばあった。また,調製されたキャピラリーカラムの性能をイオン交換クロマトグラフィー法を用いて行ったところ,従来法と比べイオンの保持時間の上昇及び分離性能の改善に繋がっていることが示されているが,化学修飾反応においてはマイクロ波の効果はみられなかった。そのため,研究計画を変更し,マイクロ波の影響を受けやすい重合モノマーや架橋剤等を選定し,様々な固定相を調製することとしたため,未使用額が生じた。
今年度は,第3級アミノ基を有するモノマーを中心し,ワンポット反応による重合反応を検討したところ,従来法より安定したカラムが得られたため,今後もワンポット反応をメインに研究を進める予定である。
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