2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of Miniaturized Separation/Extraction Media with Braided Filaments
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18K05169
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
齊戸 美弘 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00303701)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 組紐 / 細繊維 / 試料前処理 / 分離カラム / 二次元クロマトグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、耐熱性・耐溶媒性を有する合成細繊維の束をキャピラリー内部に組紐状に配置した、新規な試料抽出媒体ならびにクロマトグラフィー用の分離固定相の開発を主たる研究目的としている。本研究の初年度である本年度は、当初の研究計画に沿って、組紐作製条件の最適化を行うとともに、それらを充填した試料前処理キャピラリーについて、新規小型試料前処理デバイスとしての基本的な性能評価を行った。 組紐を構成する材料として、十分な機械的強度、化学的安定性ならびに耐熱性を有する各種合成細繊維の性能を比較検討し、本研究において使用する合成細繊維の候補を絞り込んだ。その上で、組紐作製条件として、構成繊維の一繊維束中の細繊維の本数、組紐を構成する繊維束自体の本数、組紐の編み方(構成繊維束の編み上げ時の配置ならびに作製時に張力として、組紐および構成繊維束にそれぞれかける荷重等)についても系統的に検討し、組紐作製時の再現性、表面の平滑性・均一性についても確認した。また、同時に、作製した組紐を充填するキャピラリーの内径と組紐外径の適合性についても検討し、本研究で使用を想定しているキャピラリー内径に適合する組紐作製条件を決定した。 更に、作製した組紐をキャピラリー内に充填する手順についても確立し、その再現性についても検討した上で、今後の応用段階において想定している、組紐充填型試料抽出キャピラリーへの試料溶液(水試料)ならびに脱着溶媒等(アセトン等の有機溶媒)の通液試験も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでの本研究の進捗状況は順調であり、当初の計画以上に進展していると考えられる。研究計画に従って、組紐を構成する各種合成細繊維の性能を比較検討し、ポリベンゾオキサゾール系の合成細繊維、芳香族ポリアミド系の合成細繊維を優先候補として選定し、これらを使用した組紐の作製条件について検討した。 実際の使用を想定した耐有機溶媒性、耐熱性等について確認し、これらの合成細繊維が本研究で想定している条件下での使用に十分に耐えうる性能を有することを確認した。異なった編み上げ条件において実際に試作した各種組紐は、それぞれ異なった形状ならびに外形を有しており、使用を想定している各種キャピラリーへの充填に際しても、抽出キャピラリーの性能に影響する内部空隙体積の大きさも含めて、これらの組紐が十分に適合することを確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画2年目である次年度も、当初の研究計画に沿って、組紐型合成細繊維充填キャピラリーの性能評価を中心に研究を推進する。 モデル水試料を抽出キャピラリーに通液した後、微量の有機溶媒等を用いて脱着させて、抽出キャピラリーの性能評価を行う。ステンレス等の金属線を内部に入れた組紐型媒体では、その金属線に自作電源装置から発生させた微弱電流を通電することにより、抵抗加熱脱着の条件についても検討する。一方で、内部に他の特性を有する細繊維束を入れたタイプでは、周囲を取り囲む組紐自体に十分な機械的強度があることから、これまで困難であった機械的強度の無い新規な繊維状媒体を内部に入れることを検討する。 この多種多様な繊維状材料を内部空間導入用として利用できる特徴について検討するほか、各種ポリジメチルシロキサン系液相による表面コーティング処理などにより、細繊維表面自体の状態を変化させるとともに、その抽出性能との相関について、モデル化合物の抽出実験を通して系統的に検討し、新規抽出媒体のデザインを行う予定である。
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