2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of ambient ionization mass spectrometry using dark current discharge with argon gas
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18K05179
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
関本 奏子 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科(八景キャンパス), 准教授 (40583399)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 暗流 / アルゴン / 質量分析 / DART(リアルタイム直接分析法) / アンビエントイオン化法 |
Outline of Annual Research Achievements |
アンビエント質量分析法の1つであるリアルタイム直接分析法(DART)は,“その場”計測手法として近年盛んに利用されている.産学の両面でDARTの実用性・応用性が高まる一方,DARTの基本要素であるヘリウムの使用改善が求められているが,最適な代替案の選定や実用化には至っていない.代表者は最近,自身のこれまでの研究で確立した放電ニードル電極に低電力を印加することで発生する「暗流」で励起されたアルゴンが,DARTと同等の計測性能を発揮し得ることを発見した.本研究課題では,暗流内で起こる化学的な現象(イオン分子反応)と物理的な現象(暗流励起アルゴンの有するエネルギーや放電形態)の関係を調べている. 今年度は,暗流のみと,そこにアルゴンを供給した際に,流れる電流値にどのような変化が生じるかをnAのオーダーで観測した.その結果,100 nA程度の暗流にアルゴンを供給すると500 nA程度しか増加せず,電流値の観点からは,コロナ放電のような持続放電の状態には至っていないことが分かった.電流値は持続放電に至っていないにもかかわらず,質量分析計で検出されるイオン量は持続放電と同等である点は未だ未解明のため,今後の継続課題とする. その他,新たな現象を見出した.暗流内に或る試料を導入すると,アルゴン供給時と同様に,オキソニウムイオンH3O+とその水クラスターH3O+(H2O)nの生成が促進された.また、H3O+(H2O)nの生成度合いは,試料によって異なっていた(試料名は非公開とする).今後は,化学的性質によって系統的に試料を集積し,暗流内でのH3O+の生成過程を追究していく.
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