2020 Fiscal Year Research-status Report
金属イオンのイオン液体抽出における優勢抽出種荷電状態の評価
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18K05183
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
平山 直紀 東邦大学, 理学部, 教授 (20260557)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イオン液体 / キレート抽出 / 分配平衡 / イオン交換平衡 / 三相系 |
Outline of Annual Research Achievements |
陰イオン性配位子を用いる金属イオンのイオン液体への抽出に際し,分配平衡とイオン交換平衡の優劣を支配する因子,すなわち優先抽出種を支配する因子を系統的に評価するという観点から,以下の研究を実施した。 1.テノイルトリフルオロアセトン(Htta)を用いるイオン液体キレート抽出における陰イオン錯体優勢抽出の機構解析: 前年度までの成果をふまえ,1-アルキル鎖長の異なるイオン液体1-アルキル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド相互間での抽出挙動の差異を系統的に評価した。全体的に1-アルキル鎖長が長い,すなわちイオン液体陽イオンの疎水性が高いイオン液体ほど抽出に有利である傾向が見られたが,分配平衡に基づく抽出の場合はその差がわずかであるのに対し,陰イオン交換平衡に基づく抽出の場合は顕著な差となった。この違いは,イオン液体の選択による優先抽出種制御の可能性を示唆するものである。 2.陽イオン錯体の陽イオン交換抽出における抽出種荷電状態の評価: 酸化状態の異なる鉄イオンを陽イオン交換抽出する系について検討を行ったところ,イオン液体と有機溶媒を共存させた三相系において鉄(II)錯体をイオン液体相に,鉄(III)を有機溶媒相に分別抽出することが可能になった。すなわち,同じ荷電錯体であっても対抽出相親和性の際による抽出制御が可能となることが示唆された。 また,これまでの研究成果を含む国内外の研究の状況に関する総説を共同で執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
感染症対策としての入構規制等の影響はあったが,研究自体は順調に進行している。ただし学会発表,特に国際学会での発表がほとんど行えなかった(学会自体の中止・延期や出張規制)ため,成果のブラッシュアップが不十分であり,学術論文発表に影響が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の延長が認められたことから,予定の計画をさらに発展させていく。また,学会発表,学術論文等の成果発表を順次実施していく。
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Causes of Carryover |
(理由) 入構規制等により実験の絶対量が制限されたことから,前年度までの未使用分繰り越しがほぼそのままとなっている。それに加えて,国内外の学会発表が困難になったことから,予定していた旅費等の支出が完全に停止してしまった。 (使用計画) 研究期間の延長が認められたことから,研究展開のためのイオン液体原料や測定用高純度ガス等の購入,および開催が延期されている国内外学会発表等の成果発表費用に充当していく。
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Research Products
(5 results)