2018 Fiscal Year Research-status Report
新たな核医学治療に用いられる超微量元素アスタチンの新奇な分光分析法の開発
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18K05193
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
豊嶋 厚史 大阪大学, 放射線科学基盤機構, 特任教授(常勤) (40414578)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アスタチン / 吸光分析 / キャビティリングダウン分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、極微量のアスタチン(At)分子を測定できる新規な分析方法として、超高感度の分光分析法を開発する。放射性元素Atは取り扱える量が極めて少ないため、一般的な分光学的手法では測定できず、現在はクロマトグラフ法などを用いて化学形が推定されているに過ぎない。そこで本研究では、超高感度分光分析法を新たに開発し、乾式分離精製法で得られる揮発性のAt化合物を世界に先駆けて同定する。 H30年度においては、保有するキャビティリングダウン(CRD)分光チェンバー装置を用いて、Atの同族元素であるヨウ素のCDR分光測定を行った。CDR分光では反射率99.99%以上の高反射率ミラーを向かい合わせて構成する光学キャビティにレーザー光を入射し、キャビティ内でレーザー光を往復させながらミラーから射出する光を検出する。キャビティ内に測定対象物質を導入すると、レーザー光がミラー間を往復する間に物質による吸光も起こる。往復回数が多いため全体として吸光量が増幅され超微量物質の測定が可能となる。実験は、日本原子力研究開発機構において、レーザー照射系ならびにCRD分光チェンバー装置、検出器を配置し、レーザーアラインメント完了後に行った。ヨウ素分子の吸収波長に適した480nmに中心波長をもつミラーを用いて測定を開始したが、430nmより長い波長ではミラーを透過するレーザー光の輝度が低すぎて観測できない事がわかった。そのため370-425nmの波長で測定を行った。実験に用いたレーザー光のパルス幅5ナノ秒に対し、観測されたCRD信号は5.6マイクロ秒のリングダウン時間で減衰する事を見出した。ブランク測定との比較により、ヨウ素分子による吸光によって減衰が早くなる事、すなわちヨウ素の吸光測定に成功している事を確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度途中に、研究代表者が日本原子力研究開発機構から大阪大学に異動したため、実験環境の整備等に時間を要し、計画からやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、大阪大学ラジオアイソトープ総合センターに、実験環境を早急に構築することが必要であり、2019年度前半をめどに実験室を整備する。現在の問題点の一つは、ミラーの反射率が極めて高いために、目的とする波長のレーザー光を光学キャビティ内にほとんど入射できていない事である。そこで、アラインメントを見直し、ミラーを通らない斜め入射による光学キャビティへのレーザー光導入法などを新たに検討する。また、実験を行う上での課題であるレーザーアラインメントの簡易調整法やヨウ素分子の定量などを解決する。これらの問題点を解決したうえで、再びヨウ素分子を用いて吸光実験を行って吸光係数を導出し、文献値あるいは通常分光測定による値と比較して本実験手法の信頼性を示す。さらに、微量の放射性ヨウ素(ヨウ素-131)を用いてCRD測定を行い、微量放射性元素への適用性を明らかにする。その後、最終目標であるアスタチンの分光実験に挑戦する。
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