2018 Fiscal Year Research-status Report
医用材料に吸着する超微量タンパク質の高感度絶対定量法の開発
Project/Area Number |
18K05196
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
加藤 愛 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究グループ長 (10415656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿木 佐知朗 関西大学, 化学生命工学部, 准教授 (70421419)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | タンパク質 / 吸着 / 絶対定量 / アミノ酸分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、研究代表者らが過去に構築した同位体希釈質量分析を利用したアミノ酸分析法(IDMS-AAA法)を応用し、医用材料に吸着した超微量タンパク質の絶対量を高感度かつ高精度に定量する方法を開発することを最終目標とする。 初年度は、まず過去に研究代表者らが確立した現行法(IDMS-AAA法)を改良し、全天然アミノ酸を定量出来る分離・検出が可能で、かつ分析時間を10分程度まで短縮できる条件を検討した。具体的にはAPDS(アミノタグワコー, Rapid Commun. Mass Spectromet., 23(2009)1483)を誘導体化試薬として利用した誘導体化‐LC/MSによるアミノ酸分析法と、HILICカラムを利用した非誘導体化-LC/MSを利用したアミノ酸分析の2種を検討し、後者の方法においては、既存の方法と比較して感度は保ちつつ、分析時間の大幅な短縮(88分/1分析→23分/1分析(洗浄工程・平衡化の時間も含む))と測定対象アミノ酸の拡大(8種→17種)を達成することが出来た。 次に、モデルタンパク質であるヒト血清アルブミン認証標準物質を約100倍希釈したもの(0.7 mg/mL)について、加水分解条件の検討を行った。結果、加水分解時間については6時間以上で十分であることが分かった。また、17種類中、Cys-Cys,Gly,Thr, Tyrを除く13種類のアミノ酸については定量が可能であることが分かった。 また、汎用の低タンパク質吸着界面であるポリエチレングリコール固定界面の作製にも着手し、ガラス基材への金の蒸着とチオール-金結合を介したポリエチレングリコールの固定化法を最適化できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究課題に関しては、研究実施初年度である平成30年度において2つの課題を目標として設定し、その計画に従って研究を実施した。当初の予定通り、IDMS-AAA法の分析条件の改良およびモデルタンパク質の分解条件の検討を行うことが出来た。また、汎用の低タンパク質吸着界面の作製にも着手することができ、順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、研究初年度の実施状況が概ね順調であったことから、交付申請時に計画した研究実施計画に従って推進する。 特に令和元年度については、初年度に設定した課題の成果のうち、特に初年度に改良したIDMS-AAA法分析により、汎用材料界面へ吸着したモデルタンパク質、あるいは血清蛋白質の吸着絶対量の定量を実施する。また、参照実験として、同一のタンパク質溶液の吸着量を本手法と従来法(比色定量法および免疫学的定量法)とでそれぞれ定量し、感度や精度を比較する予定である。
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Causes of Carryover |
IDMS-AAA法において内部標準として用いる安定同位体標識アミノ酸類(3C, 15N標識した各種アミノ酸)を購入するにあたって、予算の残額の関係から次年度以降に予算を繰り越し、購入することとした。令和元年度においては、標品試薬、ヒト血清タンパク質試料、タンパク質定量試薬、抗体試薬、医用材料の表面処理用試薬等を購入予定である。
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