2021 Fiscal Year Annual Research Report
Synthesis of water-soluble compounds of platinum group metals in molten glass media
Project/Area Number |
18K05199
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
岡田 敬志 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (30641625)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 白金族錯体 / 錯体の形成挙動 / 価数 / 配位子 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初、加熱産物の水処理液に対して紫外線吸収、ラマン分光、電気化学的手法による分析を試みたが、液中PGMの濃度が低く、分析が困難であった。また、水処理液のpHを酸性側に調整すると溶解液のアルミニウム成分が沈殿するため、液中PGMを取り込む懸念も生じた。 そこで、研究計画を修正し、加熱処理における投入物組成を変化させてPGMの挙動を比較し、それによってPGM錯体の形成挙動を調べた。K2CO3共存下において、少量のB2O3、Al2O3と金属Ptを加熱すると、生成物のX線回折パターンにおいてK3AlO3に相当するピークが観察された。このことから、加熱によってK2CO3とAl2O3からK3AlO3が生成し、これが表面酸化されたPtとMetaborate group等のホウ酸と反応し、錯体が形成されると推察される。また、X線光電子分光分析より、B2O3とAl2O3の比によって、Pt4f7/2のピーク位置や形状が異なっていた。このことから、配位子の組成が異なるPGM錯体が形成され、それによってプラチナの酸化状態が変化したと推察される。 また、媒体中で合成した可溶性Rh化合物を0.01M塩酸水溶液で溶解処理し、時間とともに化合物の形状がどのように変化しているのかを調べた。その結果、溶解処理前はCaを含んだ微細な粒子が存在していたが、可溶性Rhの溶解が完了したのちはCaを含まない扁平状の物質が残留していた。したがって、溶融媒体中において、はじめに扁平状の不溶性Rh化合物が生成した後、ここにCa成分が反応することで可溶性Rh化合物が生成したと推察される。 PtとRhの化合物のいずれにおいても、表面と内部で配位子成分の分布が異なっていることが分かった。特にホウ素が表面に多く存在していることから、ホウ素酸化物のPGM粒子内への拡散移動が可溶化の進行度を左右する要因の一つだと推察される。
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